中世史家の呉座勇一氏ついに〈一揆〉を

f:id:simmel20:20191110144453j:plain

 いまを時めく呉座勇一国際日本文化研究センター客員准教授が、ついに一揆を起こしたようである。とりあえず慶賀しておきたい。

simmel20.hatenablog.com

一揆の原理』(ちくま学芸文庫)によれば、 そもそも「一揆」という言葉の語源は、「はかる」すなわち計量・計測の意味で、派生して「教え・方法・行為」の意味を含むようになり、日本の平安時代では、単に「同一である」との意味で用いられた。鎌倉時代に入り、「心を一つにして」「一致団結して」の意味で、動詞的用法で用いられるようになったのである。そして、

……一揆の本質は、呪術的な〈神への誓約〉ではなく現実的な〈人と人との契約〉であるというところに存在する。だとすれば、一揆の結合原理を、一揆契約と兄弟契約の類似性という事実を出発点にして、考察する必要があるだろう。……(p.216)
 一揆の結成とは、旧来の「縁」をいったん切断した上で新たな「縁」を生み出す行為と把握すべきとすれば、「新しい中世」とも評される現代において、伝統的な共同性の復活ではなく、例えばSNSなどの現代メディアの利用によってどういう「縁」を生み出すのかという課題を考える上で、一揆からヒントが得られるのではないかというのが、終章の問題提起である。 

 とすれば呉座勇一氏のこの度の〈一揆〉は、いわゆる結婚の一形態なのではあるまいか。