哲学者の中村雄二郎氏が死去「共通感覚論」「魔女ランダ考」 - 産経ニュース
http://www.asahi.com/articles/ASK8Z5T8ZK8ZUCVL01T.html
中村雄二郎氏は、能・現代演劇にも精通していた哲学者で、みずからチェーホフの『プラトーノフ』の台本まで創作している。『桜の園』の独自な解釈についても瞠目した記憶がある。個人的に『現代情念論』(勁草書房)以降多くの思想・哲学書を読んで学んでいるが、能・演劇に関しての言説が面白かった。『人類知抄』(朝日新聞社)でも、世阿弥に触れている。
花とて別(べち)にはなきものなり。
奥義を極めて、萬づに珍しき理(ことわり)を
我と知るならでは、花はあるべからず。
……世阿弥のいう〈花〉には、直接は生霊(いきりょう)や御霊(ごりょう)との関係はうかがわれない。しかし、彼が同書(※風姿花伝)で、「花と、感興と、新鮮さと、これら三つは同じことである」と言うとき、そこには明らかに、芸能としての能が神事としての霊鎮(たましず)めと結びつくチャンネルが示されているわけである。……( p.100 )
http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20150708/1436320429(「チェーホフ劇とコロス:2015年7/8 」)
なお中村雄二郎氏は、都立上野高等学校の出身で、写真家荒木経惟氏(アラーキー)の先輩である。能楽の世界では、観世流シテ方の坂真太郎師が同高校の出身である。
http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20120810/1344598905(『「巻絹」鑑賞:2012年8/10 』)