貫地谷しほり主演『ガラスの仮面』観劇




 昨日は台風が西日本を襲い、東京でも雨脚強い中、新橋演舞場で、美内すずえ原作、G2脚本・演出の『ガラスの仮面』を観て来た。主演の北島マヤ役は、貫地谷しほり、ライバルの姫川亜弓役はマイコ、月影千草役は一路真輝という、個人的に申し分のないキャスティング。原作のマンガ作品はパラパラと捲った程度で語る資格はないが、かつてテレビの連続ドラマを熱心に観ていたので、そのいわゆる世界観については知っている。
 観客は9割以上が中年女性で、男性客は1Fの場内見渡しても数えるほどであった。原作のファンと元宝塚トップの一路真輝ファンばかりなのであろう。一路真輝の舞台は、1992年東京宝塚劇場での雪組公演、『この恋は雲の涯まで』(義経杜けあき静御前=紫とも、藤原忠衡一路真輝)で観て以来。そのときは、よく通った居酒屋の女将が元宝塚女優で、その関係で一路真輝後援会を通して何と最前列のペア席を取っていただいたのであった。そんなこともあり、一路真輝さんには関心がある。風格と気品のある月影千草であった。
 おチビちゃんと呼ばれてしまうふつうの女の子が、舞台では圧倒的なリアリティと存在感を漂わせてしまう、という北島マヤの役は、「カメレオン女優」とも評される貫地谷しほりははまり役であろう。劇中の演劇論、演技論、プラトン風の神話的恋愛論など、とくに新鮮味はないが、この作品で必須の劇中劇『二人の王女』での貫地谷しほりのアルディスとマイコのオリゲルドとの相克と和解のドラマには、不覚にも感動してしまった。『紅天女』の一路真輝は、宝塚の頂きを感じさせた。

 パンフレットで、貫地谷しほりは「やっぱり紫のバラのひととのシーンは、キュンキュンするところなので、そこが描かれているのは楽しみですね」と語っている。この「紫のバラのひと=速水真澄」役が、小西遼生で、二人のやりとりは微笑ましかった。
 昼食に食べたオークラサンドも美味しく、嵐の中の観劇ではあったが、総じて愉しかった。

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