ユーミン&貫地谷しほり


 http://www.wowow.co.jp/dramaw/onenokanatani/(「ドラマwスペシャル:尾根のかなたに」)
 10/7・10/14(日)WOWOW放送のドラマ『尾根のかなたに〜父と息子の日航機墜落事故〜』は、感動的でよくできたドラマであった。日航機墜落事故で520名もの犠牲者を出して(1985年)から、もう27年の歳月が流れている。このドラマは、門田隆将さんのノンフィクションを原作として創られている。歯科医(國村隼)、ボーイスカウト活動に子供を参加させていた会社員(緒形直人)とともに、従妹(広末涼子)との結婚を認めてもらった小倉秀人(萩原聖人)のそれぞれの息子たちの、人生の再生の物語である。歯科医とボーイスカウトの会社員は、墜落事故で亡くなる。小倉家の場合は、息子の光太郎と父が墜落した日航機に乗っておらず、母と光太郎の妹が犠牲となった。光太郎は幼少の頃は、祖父と祖母のところに預けられ、高校生になってようやく父秀人と一緒に暮らす。しかし父は病で亡くなり、光太郎(松坂桃李)は天涯孤独の身となる。
 光太郎は、大学であゆみ(貫地谷しほり)と知り合いになり、遊園地で遊ぶ。あゆみが「そんな大事件は経験していないけど、ふつうの生活でもしんどいことがあったんだ。だからやさしくして」と言う。この台詞は、このドラマで最も光ることばで、ドラマのリアリティーを生んでいる。ツンデレを捨てた瞬間のあゆみの深い孤独を、貫地谷しほりはさりげなくみごとに演じている。光太郎はあゆみと結婚して、3人の子供たちと、父とよく食べた焼き肉を食べるところには、鎮魂と希望があった。歯科医の息子(伊勢谷友介)と母(余貴美子)、同じボーイスカウト活動に関わる長男(玉山鉄二)とその母(石田ゆり子)らの物語も、演技に力あり、十分魅力的であった。通俗的な場面もむろんあったが、視聴して損はない。


 昨日10/15(月)は、帝国劇場にて、音楽劇『8月31日〜夏休み最後の日〜』を鑑賞。高木千佳(貫地谷しほり)と柏木一彦(吉沢悠)の二人に、会社幹部の娘で金も美貌もある川口冴子(陽月華=ひずきはな)が絡む純愛物語。場面場面で、ユーミンが持ち歌を歌う展開。バイク事故で瀕死の重傷を負い、病床で眠り続ける一彦の脳内に、ベットの傍らでうたた寝してしまった千佳が侵入してしまい、一彦のほんとうの心がわかるというお話。しかし一彦は助からず死んでしまう。千佳は涙を流しながら、フランスへ旅立って行く。貫地谷しほりの千佳は、あいかわらずA子の冴子に翻弄されるB子だな。
 40年の永きにわたって歌の世界でスーパースターでありつづけてきたユーミンに、敬意を表しながら一曲一曲を聴かせてもらった。曲名はパンフレット付属のCDで知られるが、省略。

 カーテンコールで、なんと貫地谷しほり陽月華の二人が、ユーミンを中にして登場、代わる代わる「卒業写真」を歌った。貫地谷しほりの歌ははじめて聴いた。なかなか。終幕の飛行場での涙を拭い切れていなかったが、大勢の観客の拍手に励まされて、何とか歌い切った。舞台袖を去るときの仕草がとても可愛かった。1F・B列14席で、生貫地谷しほりが「しっかり」見れた。
松任谷由実さん『卒業写真』の歌詞

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の、ブーゲンビリア(Bougainvillea)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆