貫地谷しほり、宮沢賢治作品を朗読




 一昨日6/1(金)は、東京世田谷パブリックシアターにて、シスカンパニー公演、朗読『宮沢賢治が伝えること』を観劇。栗山民也演出で、毎回違う俳優らによって朗読「劇」が演じられる。アナウンサーなどの朗読のプロによるのではなく、宮沢賢治のことばを、俳優の身体を通してあらためて味わおうとの狙いであるらしい。舞台背面の細いスクリーンに、はじめに「誕生。1896(明治29)年6月、明治三陸地震発生、津波による死者2万2000人超」などと映され、終幕に「永眠。1933(昭和8)年3月、昭和三陸地震発生。三陸地方に大津波来襲し、死傷者及び行方不明者3000人超」などのテロップが映される、この朗読「劇」の企画の意図はわかりやすい。
 じつは、宮沢賢治の〈オカルト〉的世界はあまり好きではなく、チケットを購入したのは、この日の朗読者の一人が、貫地谷しほりだったからなのだ。あと、鈴木浩介段田安則の二人で、信頼できるトリオといえる。すぐ近くの席から見られた貫地谷しほりしほりん)は、テレビで見る通りの親しみやすい美形の女優、安心した。「よだかの星」のよだかの台詞のところを担当、終わってから鼻をかんでいた。みずから感動してしまったのか、ただの生理的行為なのかは不明であったが、じつに可愛らしかった。
注文の多い料理店」の「注文」の、人を食ったような声、「永訣の朝」の悲しみの声、声色を使い分けて味があった。秋の帝劇の舞台も愉しみである。
 なお、中村友子のマリンバ演奏は、幻想的な世界へ誘導してくれる心地よい音を響かせ、朗読とのみごとなコラボレーションとなっていた。

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家に咲いた、上シモツケ(下野)、下アマリリスの花。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆