モスラとザ・ピーナッツ

 モスラザ・ピーナッツについては、かつてブログで記載している。触れているところを再録したい。
◆そもそもモスラは、作家の中村真一郎福永武彦堀田善衛らが創作したものである。関沢新一作シナリオ付きの『発光妖精とモスラ』(筑摩書房)のあとがき(回想モスラ)で、中村真一郎が書いている。
……最初に、ひとつの映画のなかで、怪獣が幾度か姿を変える「変形譚(メタモルフォーズ)」の物語にしようと思いついたのは私で、そのためには、芋虫からまゆになり、最後に蛾になる、三変化をする蛾の怪物がよかろう、ということになった。蛾、英語のモス(※MOTH)の語尾に、ゴジラにあやかってラ(※LLa)を付けようと提案したのは田中さん(※東京映画のプロデューサー)だったかも知れない。
 物語に恋愛を持ちこむ案を出したのは、ロマンチックな福永で、男は日本人の探検隊員にするが、女は巨人にしようということになり、これは、ザ・ピーナッツという、ふたごの可愛い歌手の売り出しに利用しようということになって、小人に変えられた。私たちの脳裡には『ガリバー旅行記』があった。
 日本の男と小人の女との恋愛の奥に、人間は肌の色や肉体の大小によって差別されるべきではない、というヒューマニスチックな主題をひそませたのは堀田である。……(同書p.171)
http://simmel20.hatenablog.com/entry/20140726/1406359162(「怪獣モスラの誕生:2014年7/26」)