石井光『医者の嘘』(幻冬舎)を読む

 石井光医学博士の『医者の嘘』(幻冬舎)を読んだ。著者は、新日本橋石井クリニック院長として、年間3000件の内視鏡検査や手術を行ない、またがんの免疫細胞療法およびコラーゲンの効果についても臨床研究を続けているとのことである。大病院の医師は、内視鏡検査を1年間に数百件実施していれば多いほうだとし、
……内視鏡の専門医として開業している医者は、私を含めてその10倍近くの内視鏡検査や手術を行っているのです。これだけ経験値が違うのですから、技術に差が出るのは当り前です。
 病院という器の大きさでなく、どれだけ経験数が多いかが診療レベルを測る根拠となるのです。これは、内視鏡だけでなく他の医療でも同様です。……(p.165)
 このあたりは納得できるところである。7年ほど前にこちらが胃・食道の経鼻内視鏡検査を受けた、ららぽーと横浜クリニックは装備も一流であったが、院長の大西達也医師がすばらしい「腕」の持ち主であった。
 http://lala-clinic.jp/message/index.html(「ららぽーと横浜クリニック」)
 ただとくに耳鼻咽喉科関係では、設備が整っていることは受診の条件となろう。
 胃がんの要因の大きな一つであるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の抗生物質投与による除菌について、ピロリ菌の出していたアンモニアの中和効果がなくなり、胃の中が一気に「行き過ぎた酸性の状態」となって、3割の人が逆流性食道炎になる。そこから「バレット食道がん」になるリスクを考慮しなければならないと述べている。間違いはないにしても、いたずらに脅すのではなくそのリスクの大きさについても記しておくべきであろう。
 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/201111/522337.html
   (「バレット食道が食道腺がんになるリスクは従来推定より低い」)
 http://www.gi-cancer.net/gi/ronbun/2012/ronbun_120101.html
   (「バレット食道患者における腺癌の発生頻度」)
 http://hqpatho1.luna.bindsite.jp/res/girmukaisho.pdf
   (「病理医からみた Barrett 粘膜と Barrett 腺癌 ― 米国人に多い LSBE とわが国に多いSSBE の組織型の違いについて」)
 http://www.yoshiokaclinic.com/blog/2013/03/post-86-477942.html
   (「ピロリ菌除去と逆流性食道炎」)
 内科のクリニックは、「患者が集まらないので開業してもすぐに廃業に追い込まれる」場合が多く、そこで内科医は「仕方なく心療内科クリニックを開業」するそうである。
……これなら患者が集まります。しかし、心療内科は内科の一部であって、医者はうつ病に関する専門的な臨床経験を積んでいません。ですから、患者が来れば、気軽に抗うつ剤を処方します。……(p.125)
 おいおい。クリニックもよく調べなければいけないと教えられる。「日本は世界で一番抗うつ剤が売れる国なのです」。
 個人的にはいま最大関心事の整形外科関係のところでは、リハビリやヒアルロン酸注射にも限界があり、膝や股関節の痛みに苦しむ患者に最後通告として整形外科医は、「もう人工関節しかありませんね」と告げるそうである。さて、
……しかし、人工関節はいったん入れると、もう後戻りはできません。使っているうちに徐々に擦り減ってきますから、交換しなければならない時期がやってくるのです。
 通常は、10〜15年で交換しなければなりません。つまり、一生のうちに、一度ならず、2度、3度と交換が必要になることもあります。おまけに、1回の手術で数百万円の費用が必要になります。人工関節は整形外科のドル箱というわけです。……(pp.104〜105)
 放射線被ばく量が胸部X線検査の200倍にも達する胃のバリウム検査、さらに被ばく量が格段に増えてしまう移動式検診車の検査などは避けて、胃の粘膜萎縮度を調べるペプシノーゲン法の血液検査を、胃の内視鏡検査のスクリーニング検査として奨めているのは首肯できることである。
 石井博士の臨床研究を信頼して、さっそく国際特許取得とのコラーゲンをネット注文した次第。
 http://www.dr-wellness.co.jp/(「ドクターウエルネス」)

医者の嘘 医者は自分の都合でウソをつく

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