NHK連続ドラマ『芙蓉の人』視聴

 9/6(土)最終回で終わったNHK連続ドラマ『芙蓉の人』は、ずいぶん無茶なことをした人たちがいたもんだなと思いながら最後まで観てしまった。芙蓉(峰)とは富士山のことらしいが、美しくととのった顔のことを「芙蓉の顔」と言われてきたことから、凛として美しく生きたヒロイン野中千代子(松下奈緒)そのひとのことを直接呼んだものともいえよう。
 http://www.nhk.or.jp/dodra/fuyou/index.html(「NHKドラマ『芙蓉の人』」)
 いったいこれほどの苦難を引き受けても、厳冬の富士山頂での気象観測に実用的意味があったのかどうか疑問を感じて視聴したが、NHKのサイトに気象専門家の解説があり、ある程度は納得できた。
 http://www9.nhk.or.jp/dramatopics-blog/100000/194195.html(「気象庁さん、教えてください!」)
 救出されての下山に成功し、時が流れ、千代子も亡くなって、野中到(佐藤隆太)は娘を伴って夏の富士山頂を訪れる。観測と生活の拠点であった小屋はすでに木の骨組みの一部のみ残して残骸を晒していた。ふと到が見つけた鴨居の釘は、千代子が着るものをぶら下げるために打ち付けたものだった。この2本の釘を抜いて、紙に包んで持ち帰ろうとするところでドラマが終わる。感動的な場面であった。主役二人はむろん、充実した脇役陣もたしかな演技で、人間の偉大さと哀しみを感じることができた。TVドラマとして良質である。
 なお原作者の新田次郎気象庁生え抜きの技術者として活躍し、富士山気象レーダー建設責任者になっているのだとのこと。なるほどdetailの描写まで正確なわけである。子息の藤原正彦お茶の水女子大学名誉教授とは、そのご子息がわが次男とK高校で同級のときがあり、いわば保護者つながりの微かな栄に浴しているのである。次男がかつて富士登山に使用した杖を思い出して庭に立ててみた。改めて野中夫妻の挑戦の凄さを想像してみたところである。
 http://psycross.com/blog/?p=8277芙蓉の人その後」)