孔雀とコブラ


 驚きのニュースかつ動物学的事実である。昔秩父谷津川の川原でよくヤマカガシを見かけたが、この蛇は毒をもっていても性格おとなしく襲われることはなかった。
 インドでは、コブラの天敵は孔雀であるらしい。孔雀にはコブラの神経毒に対する耐性があって、むしろ好んでこの毒蛇を食するようである。このことから邪気を払う象徴として信仰の対象となり、仏教でも孔雀明王という仏の化身を崇めている。
 http://www.geocities.jp/sensu0ooh1/5/(「クジャク」)
 http://hiyoko.tv/torimono/country/eid490.html(「トリモノ帖:インドクジャク」)
 http://www.ninnaji.or.jp/about_culturalassets3.html(「仁和寺:国宝・孔雀明王像」)
『仏母大孔雀明王経(孔雀明王経)』についてのかんたんな説明が、次のサイトで読める。
 http://www.toroia.info/dict/index.php?仏教%2f『仏母大孔雀明王経』にある大薬叉王 
……もともとこの経典が編纂されたインドには数多くの毒蛇がおり、それらの毒によって死ぬことがかなり頻繁にあった。だから人々は毒蛇を敵視し、蛇をついばむ孔雀を蛇の天敵とみなして毒蛇に対する象徴とした。後4、5世紀ごろになると、ヒンドゥー教シャクティズム(女性の力を重視する)の影響を受け、仏教徒の間で孔雀が神格化されて孔雀明王という尊格が誕生した。孔雀のサンスクリットであるマユーラ(Mayūra)が女性化されてマーユーリーとなり、「偉大な」を意味するマハー(Mahā)が冠せられて大孔雀明王、また女性であることから仏母大孔雀明王と漢訳されるようになったのである。……
 ところで、いま「イスラム国」の侵攻・迫害を受けて悲惨な状況におかれているらしいクルド人の宗教に、ヤジディ(ヤズィーディー)教というのがあるとのことである。




 このヤジディ(ヤズィーディー)教でも、孔雀の姿をした天使マラク・ターウースを主神として崇拝するのである。いったい孔雀の世界棲息範囲はどこまでなのか調べていないが、文化的伝播の問題としては興味を惹く。
 それにしても中東地域の文化・宗教・政治に関して、たしかな知識・情報が不足している。先日BSフジの『プライムニュース』で、キャノングローバル戦略研究所(CIGS)研究主幹の宮家邦彦氏が、中東地域に関する専門家の育成が必要である旨の発言をしていた。同感である。アラビア語にも通じていないコメンテーターの意見など、聴く価値もないというものである。


イスラム国」が、ただのキングコブラでもないとすれば、よけい脅威の存在となろう。