文藝同人誌のこと



 送られてきた文藝誌『雲』(龍書房)12月号は、「風の道同人集」となっていて、文藝同人誌『風の道』同人の作品を収録している。2015年1月号より月刊から隔月刊発行に踏み切ったとのことである。無理をして月刊にこだわるよりいいのではないか。
……この十六年の間に時代は大きく変貌し、なによりも高齢化の進行、若手の文学離れは顕著となり、応募作品の減少とともに特に作品の質の低下が著しくなってきた。読者数も伸び悩んでいる。この間、世の文学雑誌の廃刊の傾向も顕著で同人誌も同様、月刊を維持している雑誌は数えるほどとなっている。……(同書p.76:発行人)
 次の『群系』も共通であるが、定期購読料の支払い方法が郵便振替のみとなっているのは、いかにもアナログ的で不便である。銀行口座さえ設ければ、ネット経由ですぐ済むことなのである。

 批評中心の文藝同人誌『群系』は、第32号(2013年後期号)が発行された。こちらは会員となっている。今号は、「大正の文学」と「流行歌・愛唱歌」の二つの特集を組んでいる。目次を覗いてみたが、あまり読む意欲が湧かない。作品としての批評は小林秀雄で〈完成形〉に達していて、あとは実証性の深化以外に進展はないのではないか。「編集後記」に「秋の文化勲章高倉健が受章となったが、反面藤圭子島倉千代子等の訃報が続いた」とあるが、この「反面」のことばの使い方は引っかかる。全国の文藝同人誌の活動実態については、次のところが参考になる。
 http://www.geocities.jp/hiwaki1/doujin/douindexF.htm(「文芸同人誌案内」)
 純粋に文学の活動でネットを積極的に利用しているのは、次の文藝同人誌。
 http://www.geocities.jp/hiwaki1/doujin/douindexF.htm(「カプリチオ」)
 http://bungakugai.web.fc2.com/(「文学街公式HP」)
 プロ作家集団編集の『文芸思潮』は同人誌活動ではない。文藝同人誌の活動にリンクしサポートしている。
 http://www.asiawave.co.jp/bungeishichoo/(「文芸思潮」)
 音楽の活動でいえば、自主レーベルのCDを出しているとも、あるいは「デビュー」か「出世・肩書」を願ってデモテープを送り続けているいとなみとも考えられるだろう。格別非難すべきことでもないが、純粋とばかりは捉えられない活動であるのだ。(むろん、できるだけ多くの知己に読まれることを目標とも愉悦ともする同人も、少なくないのである。)
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のサザンカ山茶花)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆