犀星の戯曲

 本日の「YOMIURI ONLINE」(北陸発)によれば、「読売新聞北陸支社は発刊50周年にあたり、金沢市生まれの詩人で小説家の室生犀星が来年3月で没後50年を迎えるのにあわせ、新たに文学賞を創設」するとのことである。1962年3月26日没なので、そういうことになる。「室生犀星文学賞」という名称とのこと。
  http://hokuriku.yomiuri.co.jp/hoksub8/index.htm#saisei?from=yoltop
 昨年の3月、室生犀星の戯曲を舞台化したものを観劇している。HPの記載を再録しておきたい。
◆昨日3/10は、東京両国シアターXにて「第30回名作劇場」の劇場企画公演『茶の間&圍まれた女』をマチネーで鑑賞した.どちらも一幕物で、前者が室生犀星、後者が田口竹男の作である.室生犀星の戯曲上演を観るのは今回がはじめてである.かつて日本オペラ協会公演のオペラ『舌を噛み切った女』(於新宿文化センター)を観たことはあるが、これは小説を原作に原嘉壽子が台本・作曲を担当した舞台であった.だいたい犀星の戯曲はレーゼ・ドラマとして見なされ舞台化されることが稀であったのだ.
 ちょうど今頃の季節のお話で、タイミングのよい公演であった.昔愛し合っていたらしい男が、母と同居する女の家へ、亭主のまだ帰宅していない雪の夜訪問してきた.女は一瞬心ときめくが、二人の間には所在ない時間が流れ、男が去っていく.帰宅した夫に、女は外に出て出前を頼み、丼が届いてから夫の膳を挟んで温かいときを過ごす.それだけの話だが、味わいがあった.先に床に就いた夫に、「いま行きますよ」と言って、鏡に向って薄化粧をする女の可憐さと艶かしさに、「おっ犀星だ!」との感想をもった.
 企画演出した川和孝氏のパンフレット解説「室生犀星の残した戯曲」のほかに、国会図書館所蔵の某雑誌に、川和氏のより詳細らしい論考があるとわかった。登録手続きをすればコピーも郵送で入手できるとのこと、ありがたいことだ。さっそく手続きをとった.(2010年3/11記)
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のマンデビラ(Mandevilla)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆