小浜逸郎さん、お疲れさま

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▼ふたりの知性の違いを象徴的に示していることとして、どこかで小浜氏が「スコラ的厳密さ」という用語を用いて、「生活感覚に基づかない」哲学理論をこき下ろしたことがあって、中島氏は、「スコラ哲学は人類のすばらしい知的遺産」であり、「その思考の厳密さに敬服」しているとし、用語法に見られるその紋切り型の「哲学史」理解を批判している。中島氏はかつて、安易に「社会」観を語る議論に対して、「普遍論争」の「実在論」を素朴に信じすぎていると論評したことがあったかと記憶するが、氏の学者として蓄積の一端をここでも知らされた思いだ。市井の思索者=評論家である小浜氏との違いを感じたところである。▼

simmel20.hatenablog.com▼定年退職してからの趣味などに情熱を傾ける「悠々自適」の生活が奨められるが、それに対しての小浜氏の反発には、大いにとはいえないが共感を感じるところもある。
……人間はすぐ退屈する動物であり、自分のやっていることの「意味」を考えてしまう動物である。趣味に生きるといっても、そんなに一つや二つの趣味に没頭して長い年数を明け暮れる人がたくさんいるだろうか。「趣味」が実感できなくなったとき、どうすればよいのだろうか。
 そば打ちをやろうが、山歩きに精を出そうが、短歌サークルに属そうが、土をいじろうが、そこで得られる満足感は、ある年齢以上になればたかが知れている。
 また競争心をかき立ててくれるような趣味であっても、しょせん大部分はアマチュアの域を出ない。これから一芸に秀でることができる人など、ごくわずかにすぎない。
 それを悟ったとき、満足感を持続させられるだろうか。しだいに募ってくる虚しさを押し殺せるだろうか。……▼