「月岡芳年」展

 

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 「月岡芳年 血と妖艶」展、新型コロナウイルス感染症が勢い収まれば、出かけてみたいところではある。横尾忠則編集・装幀『芳年ー狂壊の神々』(里文出版)巻頭で、由良君美が「世紀末と芳年的なもの」と題して書いている。

 大ざっぱな言い方であるが、蕭白若冲、芦雪に一斉に吹き出た日本マニエリスム的傾向が、後期歌麿写楽北斎国芳、幕末妖怪絵画等のシンボリズム的傾向に煮詰り、時代の欧化・物質主義・功利主義的動向と衝突し拮抗するところに生じた、反語とヴィジョンと悪魔祓いの、神経の研ぎ澄まされた——芸術の代表が月岡芳年の仕事であり、芝居絵の土佐絵金と、その嗜虐味において雁行する物をもった幻視の告知者であった。(p.14)