大河ドラマとW長谷川

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 2/2(日)放送のNHK大河ドラマ麒麟がくる』では、明智十兵衛光秀(長谷川博己)と斎藤高政=義龍(伊藤英明)が馬に乗って林に赴き、鉄砲の試し撃ちをする。そして義龍は、将来の美濃をどう統治すべきか、戦さにばかり卓越した才を発揮する父道三(本木雅弘)を批判し、来たるべき時に光秀に協力してくれと秘かに頼む場面、今後の展開を予兆し暗示的であった。じつは最新の学術的研究成果を踏まえていること知り、感心させられた。戦国物語といえば、斎藤道三ばかり目立っていたが、このドラマを契機に義龍がすぐれた武将であったことが注目されるだろう。

 『麒麟がくる』には、歴史上実在した人物ではない、物語のオリジナルキャラが登場している。医師の望月東庵(堺正章)、その助手の駒(門脇麦)、百姓菊丸(岡村隆史)、旅藝人一座の女座長伊呂波大夫 (尾野真千子)など。だいたい主人公の明智光秀じたいその出自にして判然としていない世を扱っているのであるから、実在した人物および事件に関して史料上の根拠を無視して描くのでない限り、ドラマ展開上の〈歴史離れ〉はあって構わないだろう。トルコの大河ドラマオスマン帝国外伝』でも、後宮女官長のニギャールという女性を登場させて、物語の展開に大きく関わらせて面白くしている。(最も人生の悲哀を感じさせた登場人物であった。)ただ、学術的研究でのみ明らかになる史実と、面白いということが至上命令の物語は違うのだ、という認識を忘れないことだ。

  NHK大河ドラマ長谷川博己といえば、2013年綾瀬はるか主演の『八重の桜』を思い起こす。会津藩川崎尚之助を演じたのが、長谷川博己。維新の戦乱で、八重(綾瀬はるか)と離れ離れの人生を生きることになってしまった尚之助の、限りないやさしさのオブラートで包んだ絶望と悲哀を、みごとに演じていた。

 さてこの『八重の桜』にはもう一人の長谷川が出演している。八重の兄山本覚馬(西島秀俊)に嫁いで、やはり戦乱により別れて会津の山里に孤独に生きる運命となった樋口うらを、長谷川京子が演じている。視聴者も涙するほかはない晩年の姿であった。
 その長谷川京子が、世田谷パブリックシアターで、シラーの『メアリ・スチュアート』のメアリ・スチュアートを演じる。男長谷川の明智光秀もいいが、女長谷川のメアリ・スチュアートも期待するところ大である。

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