『久米正雄作品集』(岩波文庫)届く

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 『久米正雄作品集』(岩波文庫)がAmazon経由で届いた。すべて小説とばかり思っていたが、随筆も多く収録されている。編者石割透氏の巻末解説を読んで理解できた。なお、石割透氏とは、昔K短期大学で氏と同僚であった故葉山修平氏の誘いにて、麻雀卓を囲んだことがあった。後の一人は、アララギ歌人の吉村睦人さんではなかったか、記憶が朧である。その時は、石割さんは芥川龍之介の研究家であるとの紹介であった。解説文作成にあたり、一つとして小谷野敦氏の『久米正雄伝』(中央公論新社)から教示を得ているとある、とうぜんだろう。

 野球、競漕、ゴルフ、庭球、ピンポンなどのスポーツ、写真・活動写真撮影、麻雀、社交ダンスと久米は趣味にも多芸多才、ラジオの野球中継の実現にも力を注いだとされ、昭和期には放送界、映画界にも深く関わった。このような久米には、随筆は、俳句とともに、久米の個性が最も溌剌と作動するジャンルとなった。ここに収録した随筆が、そのことを明かしてもいよう。(p.376)