歴史的事実と統計的事実(その2): 条約・協定の〈自然消滅〉

 

   篠田英朗東京外国語大学教授(国際関係論)の、「アゴラ」掲載の次の論評が参考になる。

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 日米修好通商条約が今日無効なのは、単に政権交代があったからだったり、時間がたったからだったりしたからではない。明治政府が、江戸幕府時代に締結された不平等条約を、血のにじむ努力で改正する努力を払ったからだ。

2012年にオランダの裁判所で、日蘭修好通商条約の有効性が確認されたのをご存知だろうか。

参照:オランダでは日本人が労働ビザなしで働ける 理由は明治時代、不平等条約撤廃後の日蘭条約が生きていたから

明示的な廃棄や改変がなければ、国家継承が行われている限り、政権交代があっても、条約は有効である。

 

 日米修好通商条約は、日本の不平等性を改め(旧)日米航海通商条約、さらにその改定である(新)日米航海通商条約へと継承され、1939年7月アメリカの破棄通告により、1940年失効した。自然失効したわけではない。これが歴史的事実である。

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