志の持続

 「継続は力なり」は、英語では、“Continuity is the father of success”となるらしい。なるほど。
 作家秦恒平氏の個人本『湖の本』の128号が完成したそうである。驚嘆。氏は、ブログで書いている。
……わたしの小説や志向・傾向が、とうてい現下の文壇や文藝出版向きでないという体験上のかすかな諦念が、書いてもそのまま仕舞ってしまう方へ向かわせた、 所詮は騒壇余人の意識が強まっていたのだと思う。でなくて、現役作家が、「湖の本」のような舞台を自ら創り出すか。だれも、と言って間違いないだろう、事 実「秦 恒平」のように「文学」世界を自身切り開いて進んだ作家は他にいない。いても、続きはしなかった。「続く」ことが必要なのだ。「湖の本」三十年、わたし は、今も続いている。まだまだ続くだろう。……(2016年1/27の記)

 この『湖の本』のことについては、かつてわがブログで触れたことがある。以後も志が持続し、着実に創作の実りが生まれているようである。個人的には日本古典の素養を欠くため、「秦恒平の世界」には入り込めないのであるが、その作家としての矜持と姿勢に深甚の敬意を表したい。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20131112/1384251107(「作品鑑賞方法の多様化:2013年11/12」)
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20120214/1329203695(『「書縁千里」というほどではないが:2012年2/14』)