米倉斉加年さん追悼

 俳優米倉斉加年の舞台を観たのは、渡辺浩子訳・演出のベケット作『ゴドーを待ちながら』(東京砂防ホール・劇団民藝公演・1965年12月)であった。この舞台の印象はあまり鮮明ではない。洋食の珍味を、和食の調理人が〈本場〉のレシピを見ながらなんとか作ってみたといったところだったのだろうか。


 むしろテレビドラマでの祖父の役で味のある演技を見せてくれ、その存在感を感じさせた。NHK朝ドラの傑作『ちりとてちん』では、ほとんど声のみの出演であったが、ヒロイン(貫地谷しほり)の落語好きな祖父役はよく記憶している。今年放送のNHK連続ドラマ『サイレント・プア』では、コミュニティ・ソシャルワーカー(CSW)の里見涼(深田恭子)の祖父で、クリーニング店主役もみごとにハマっていた。ご冥福を祈りたい。それにしても名脇役がどんどんいなくなる。寂しいことである。
 http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/22000/177403.html(「NHKドラマ『サイレント・プア』」)
[