『ちりとてちん』母娘BS競演

 昨日1/23(木)は、NHKBSプレミアムで、脚本岡田惠和、演出二見大輔、NHK長野制作のドラマ「木曽オリオン」を視聴。木曽に暮らす主婦征矢秀子(和久井映見)が、近くの天文台のまかないの仕事を2週間ほど頼まれて通ううちに、天空の星々の美しさに魅せられ、若い天文研究者伊坂輝夫(大道駿介)の情熱および3人の仲のよい技術職員の奇妙な雰囲気に接し、一瞬のときめきを覚えつつ惰性で生きてきた自分とは違うもう一つの自分を発見するに至る物語。
 http://www.nhk.or.jp/nagano/kisoorion/(「木曽オリオン」)
 秀子のマイペースなところは、同じ和久井映見が演じた、朝ドラ『ちりとてちん』のB子の母親を思い起こさせる。技術職員の一人が、『あまちゃん』で奇怪な潜水土木科の教師を演じたあの皆川猿時だ! 秀子は、はじめて天文台の調理室に立ったとき、まるで異界に紛れ込んでしまったような思いをもっただろう。しかし夕方現われた天文研究者は、若いイケメンであった。じつはこの人は既婚者で、妻は同じ天文研究者としてほかの天文台で調査研究しているのであったが、手を握って暗い館内を案内してくれたり、秀子はいっとき胸の鼓動を覚えるのであった。このあたりの和久井映見はうまいものである。家に帰れば、鈍感な夫博(相島一之)とは違って、義父和男(秋野太作)は、秀子の女としての心身の変化を鋭く見抜くのであった。場面場面でのこの義父の台詞がとぼけていて面白い。

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 秀子は、別れのときに天文台の床の星の装飾にはじめて気づき、美しいもの、ゆたかなものは自分の足許にあったのだということに思いが至る。遠いドイツの地でショウジョウバエの研究をしている娘に、天文研究者輝夫が感謝してくれた励ましの言葉「その研究が未来の子孫たちのためになるのだから」と電話で話すところも、可愛らしくすてきであった。
 BSプレミアムでは、火曜日に連続ドラマ『おふこうさん』で、主演の貫地谷しほりがB子を思わせるドジな若い女性を熱演していて、『ちりとてちん』母娘の競演である。愉快である。
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