樋口一葉誕生日

 

 樋口一葉は、1872年5月2日(明治5年旧暦3月25日)に生まれたので、本日が誕生の日となる。個人的には「大つごもり」は好きな作品であるが、熱心な読者ではない。一葉が21~22歳のころ暮らした下谷区龍泉寺町は、昔割合なじみの町名であったことから、それなりの関心はもっていたのである。
 樋口一葉原作・久保田万太郎作品より堀井康明脚本、蜷川幸雄演出の『にごり江』(1984年1月・日生劇場)のパンフレットで、川崎房五郎氏が書いている。
……日清戦争前後の東京には、近代工場はおろか、小規模な中・小工場、その小工場ともいえぬ作業場的な家内工業が、まだひしめきあっていました。
 一葉の小説には、そうした家内工業的な場所で働くさまざまな職人たちが登場しますが、恐るべき低賃金でじっと我慢して働くこうした人たちが、東京の下町ばかりか、山の手の坂の下や、谷間になったような場所にはかなりいて、自分の道具と技を大切に、真面目にコツコツと働く、江戸伝来の職人気質がまだまだ残っていたのです。……(p.26)
……大都会の片隅、洗うような赤貧の中で、泣き、笑い、愛し合い、憎しみ合いながら、身を寄せ合って生きる庶民の生きざまが、この「にごり江」の舞台に哀しいまでに美しく描かれることでしょう。……(p.27)
 http://www.e-bungaku.net/ichiyo/(「文学の館:樋口一葉の世界」)
 http://www5a.biglobe.ne.jp/~takeko/mamechishiki.htm(「樋口一葉豆知識」)
 http://www.taitocity.net/taito/ichiyo/(「一葉記念館」)
 http://www.youtube.com/watch?v=BuOPc3G5Ey4

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の多肉植物カランコエ。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆