「大つごもり」の舞台


 樋口一葉の「大つごもり」は、昔ラジオの放送劇で聴いて感動した記憶があるが、久保田万太郎脚色の文学座公演の舞台を観たのとどちらが先であったかは、定かではない。文学座の舞台は、1965年10月砂防会館ホールにて、戌井一郎の演出で、「おりき」「十三夜」とともに三部作『大つごもり』として上演された。
「大つごもり」の、地主山村家の長男石之助は、NHK朝ドラ『朝が来た』の、大坂の両替屋加野屋の次男白岡新次郎(玉木宏)とキャラ的に重なるところがある。演劇評論家渡辺保氏によれば、かつての文学座では、久保田万太郎の指導のもと、日常語を演劇の言語として語る訓練がなされていたとのことである。
 http://simmel20.hatenablog.com/entry/20110227/1298819466(「コンヴィチュニー演出の『サロメ』:2011年2/27 」)
……「大つごもり」に出て来る女中のお峰は、父母に死なれて、伯父の世話になって育ったが、山村という資産家の女中になっている。年の暮がせまって、高利貸にせめられる伯父を救うために二円の前借を申し込んで、山村の妻が引き受けてくれたのに、先妻の息子で勘当されている石之助が無心にきたことで不機嫌になったせいか、お峰に約束したおぼえはないと言う。せっぱつまったお峰は、主人の金を盗んでしまう。貧しいお峰は、決して泣寝入りせずに、伯父の不幸を救うためには、盗みを働くのだが、それも仕方がないように読者に感じさせるのは、富が一部に偏在する社会悪を見ているからであろう。……(公演パンフレット:和田芳恵樋口一葉作品の女性たち」)
 http://simmel20.hatenablog.com/entry/20140501/1398912540(「蜷川幸雄演出『にごり江』は観ている:2014年5/1 」)