明後日の10月30日(日)は、JRA「天皇賞・秋」が、府中の東京競馬場で催される。そもそも勝馬投票券なるものをはじめて購入したのが、アイフルが勝った第74回(1976年)の「天皇賞・秋」であることから、もっとも思い入れの深いレースである。ミスターシービーが覇者となった第90回(1984年)から、距離が3200メートルから2000メートルになって、とくにスピードが要求されるようになったとはいえ、長い直線の競争は苛酷で、秋のやわらかい陽射しに照り映える、優勝馬のたてがみの華と美しさは変わらない。今年はおそらく、ブエナビスタ、ローズキングダム、アーネストリー、ダークシャドウの4頭のうちのどれかが優勝するだろう。いずれが池月(いけづき)か磨墨(するすみ)か、ゴール前の息をのむ叩き合いを、鶴首して待っているところである。
さて73年前(1938年)のこの日の夜、アメリカで有名な大規模パニック事件が起こっている。「火星からの侵入」騒ぎである。恥ずかしながら未読である、キャントリル(A.H.Cantril)の『火星からの侵入』についての『現代社会学辞典』(有信堂)の解説(pp.119〜120)によれば、
……その夜、H.G.ウェルズの小説『火星からの侵入』を翻案したラジオ・ドラマが放送され(じつは、ハロウインの余興として流したもの)、600万人の人びとがそれをきき、100万人の人びとはそれを(緊急の)ニュースだと信じて、怯え、祈り、泣き、叫び、駆け出し、車で逃げ出した(発砲事件もあったらしい)。
キャントリルはインタビュー調査にもとづいて、パニックの原因を分析している。
1)火星人の侵入は事実であるとしがちな判断基準をもっており、その基準は事件についての潜在的期待と一致していたこと(例:キリスト教の終末信仰)。2)情報源について、信頼できるものとそうでないものとを区別する適切な判断基準をもちあわせていなかったこと。3)判断基準の必要は感じていたので、事件の報告書やラジオの威光による解釈をうけいれてしまったこと。4)判断基準を探そうともせず、あたえられた解釈をためらわずにうけいれたこと。
こちらも福島県につながりのある人がいないわけではないので、県民の方々の怖れと憤りについていくぶんか察するところがあるつもりであるが、事態がパニックに発展しないよう祈りつつ、ここでは一般的にキャントリルの「判断基準」に関して有効と思われる提言・分析を載せておきたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/26995(京都大学原子炉実験所の高橋千太郎副所長:動物生理学)
http://news.livedoor.com/article/detail/5940833/(古山明男「雨と放射線値」)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw132052(〈御用学者〉奈良林直北海道大学教授)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20111012/223166/?rt=nocnt(ウェード・アリソンオックスフォード大学名誉教授:素粒子物理学)
http://agora-web.jp/archives/1397204.html(石井孝明「環境リスク学」)
- 作者: H.キャントリル,斎藤耕二,菊池章夫
- 出版社/メーカー: 川島書店
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