ドリー・ヘミングウェイとミラ・ジョヴォヴィッチ

 今年は、アーネスト・ヘミングウェイ(1899年〜1961年)没後50年にあたるそうである。命日は、7月2日、まもなくだ。格別に好きな作家というわけではないが、長・短篇小説に感動した記憶はある。ひ孫のスタイル・アイコン、ドリー・ヘミングウェイの、ファッション誌に載った、現代的で美しい写真の肢体を思い浮かべた。その折のHPの記載を再録したい。

◆洋雑誌専門ショップから、注文していたファッション誌『PURPLE FASHION magazine』の秋・冬(FALL・WINTER)号が届いた。400頁を超し重量感もあるが内容的にも期待通りの雑誌で、多くのブランド広告写真を含めて、パラパラめくって眺める愉悦がある。YOKO ONOまでパロディ風フォトのモデル(被写体)として登場していたりして、撮影者もモデルも性別・年齢・国籍ほか多彩で、しかもいずれもゾクゾクするほどすてきである。
 現代のスタイル・アイコン(style icon=fashion icon)であるという、ドリー・ヘミングウェイ(DREE HEMINGWAY)はヘミングウェイのひ孫(great-granddaughter )にあたるスーパーモデル。21歳という年齢とはとても思えない少女のような肢体を、ブーツのみのフルヌードをしなやかに曝している11葉(頁)のモノクロ写真は、エロスとともに、モダンダンスを観ているときの構成の美を感じる。
 http://www.fashionising.com/pictures/b--Dree-Hemingway-in-Rodarte-thigh-high-boots-2102.html(同誌掲載「ドリー・ヘミングウェイ」さすがにp.301 の写真は外してある。)
 日本人モデルKAORI ENDOの写真は、荒木経惟アラーキー)へのloveを記してMARLENE MARINOによって撮られたもの(12葉)で、人形の肢体と見紛う被写体でまさにアラーキー風なエロティシズムを感じさせる。
 むろん男性モデルのヌードもあるが、こちらはパス。
 ともあれ、ヘルムート・ニュートン、ロバート・メイプルソープ以降の写真、およびケイト・モス(まだ現役)のあとのスタイル・アイコンのことなど知り得て、満たされた気分横溢。
 しかしほんとうの購入動機は、ミラ・ジョヴォヴィッチ(MILLA JOVOVICH)の写真であった。2年前に子どもを産んだばかりとは想像できない均整のとれた裸身を品よく、14葉(頁)撮らせている。フルヌードの写真は、かつて無名モデル時代のものを見たこともあり、意外な印象はないが、ビッグな女優になってからのものなので、興奮させる。
    http://www.skindalous.com/?p=1807(同誌掲載「ミラ・ジョヴォヴィッチ」)
 WOWOWの放送で、最近映画『バイオハザード』3部作を観たところで、アリスを演じたミラ・ジョヴォヴィッチのファンとなっていた。
 映画のアリスは、ミラ・ジョヴォヴィッチが演じると、少年の面影を宿した女刺客のイメージで、そこが魅惑的なのだ。美女が戦士として男のように闘う物語は決して奇想天外ではなく、わが国の伝統に即して考えれば、闘うヒーローは、両性具有的に美しい戦士なのである。「日本武尊が女装して熊襲を征伐に行ったり、神功皇后がみずらに結い、男の姿になって新羅を攻めたのは、多分に呪術的な意味もあったに違いない」が、熊襲の首長タケルと、女装した美少年日本武尊との間(の描写)には、「多分にエロティックな気配を感じる」(『両性具有の美』新潮社)と、亡き白洲正子さんも述べている。必ずしも同一の構造にはなっていないが、倒錯的な美しさという点で重なるものがあろうか。(2009年10/9記)
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のクジャクサボテン。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆