B.マリノフスキの本

 B.マリノフスキの『西太平洋の遠洋航海者』が講談社学術文庫から発刊されたので、購入.なんだ、増田義郎訳のこの本は、かつて中公世界の名著シリーズ59巻に収録されていたものだ.レヴィ・ストロースと一緒だったので失念していた.中公版名著を、あちこちわが家のなかを考古学的に探索したが見つからなかった.増田氏が、再編集し、補正を加えているというからよしとするほかない.かつてと違い乏しい予算で書籍を買うのに、われながら慎重さはゼロだ.
 標題「遠洋航海者」は、原語Argonauts(アルゴス船乗組員)だったのか、恥ずかしながらはじめて知った.さっそく「訳者まえがき」およびJ.G.フレイザーの「序文」、「序論1〜3」を読む.さすが『金枝篇』のフレイザー卿、呪術についての記述多し.
「トロブリアンド島人の生活とものの考え方に、呪術がこのうえなく大きい影響を与えている事実は、おそらくマリノフスキ博士の著書を読む人の心に、もっとも強く消しがたい印象を与える要点だと思う.」(序文)