今日6月11日は「入梅」です。年により前後しますが、梅雨の季節に入る頃とされています☔🐌
— 市川市文学ミュージアム(公式) (@nasi_ryman) 2022年6月11日
大正時代の今日も、梅雨の始まりを感じさせるお天気だったようです。大正8年の荷風先生著『断腸亭日乗』には、「六月十一日。昨日より梅雨に入りしといふ。夕刻より雷鳴轟轟たり。」と記されています⛈
さっそくわが所蔵の荷風『断腸亭日乗』(岩波書店全7冊)の一卷を取り出す。たしかに大正8年6/11の日記に、「昨日より梅雨に入りしといふ。夕刻より雷鳴轟轟たり」と記載。面白いのはその「昨日」6/10の記事である。
一昨日錦水にて臨風子にすゝめられ、餘儀なく笠森お仙碑文起草の事を約したれば、左の如き拙文を草して郵送す。✼臨風子→笹川臨風
笠森阿仙碑文
女ならでは夜の明けぬ日の本の名物、五大洲に知れ渡るもの錦繪と吉原なり。笠森の茶屋かぎやも阿仙春信の錦繪に面影をとゞめて百五十有餘年、嬌名今に高し。本年都門の粋人春信が忌日を選びて阿仙の碑を建つ。時恰大正己未(つちのとひつじ)の年夏六月滅法鰹のうめい頃荷風小史識。(.133)✼小史:作家が雅号の下に添える語。
なお荷風が庭に植えて愛でた断腸花とは、秋海棠のことである。