パオロ・パゾリーニ監督生誕100年とのこと

www.zaziefilms.com パオロ・パゾリーニ監督生誕100年とのことである。記念しての上映2作品はどちらも観ていない。『王女メディア』は、多くの舞台を観ているギリシア悲劇で観たい気がする。『テオレマ』もシルヴァーナ・マンガーノなのか。ルキノ・ヴィスコンティ監督の『家族の肖像』と物語の設定に重なるところがある印象だが、こちらもシルヴァーナ・マンガーノが出演している。

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 『殺し(La Commare Secca=干からび枯れたおばさん)』は、ベルナルド・ベルトリッチ監督作品だが、原案はパオロ・パゾリーニである。もともとベルトリッチはパゾリーニ監督のもとで助監督をしていた。この映画は好きな作品で、昔たしか文京区千石の三百人劇場で観た記憶がある。イタリア文学者の米川良夫氏は、上映パンフレットで両監督を比較して論じている。

 ともあれ、パゾリーニがみずから監督・撮影していたならば、死を正面に据えてまともに描くものになっていたはず(パゾリーニの証言)の原案から、ベルトリッチは死をまさに「時の流れ、物が朽ち果てる有様」として、あるいはまた「カットのつなぎ、印刷のスペースのような空虚な時間」(インタビュー)として描き出している。つまり、ベルトリッチによれば、彼はパゾリーニのように死を悲劇(とりわけギリシャ悲劇におけるような)としてではなく、「日常の中断、物事の表面をかすめる軽い出来事として」示そうとしたのだった。(p.7) 

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 パオロ・パゾリーニ監督の生の三部作、『デカメロン(LE DECAMERON)』、『カンタベリー物語( LES CONTES DE CANTERBURY)』、『アラビアンナイト(LES MILLE ET UNE NUITS)』のDVDを所蔵している。『カンタベリー物語』は日本公開で観ているが、ボカシばかりでうんざりだった。

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 ソフォクレスの『オイディプス王』を題材にした『アポロンの地獄』は、倉橋由美子が「あんなのはギリシア悲劇ではない」と酷評していたのを思い出す。映画としては面白かった。