グミとスグリの実

 http://www.asahi.com/and_M/information/pressrelease/Cdpress000175972.html
 今年も桜桃忌がすでに過ぎ、梅雨明けが近そうな酷暑の日が続いている。上記電子書籍推薦リストで「美しい表紙で読みたい」作品として推している「女生徒」に、グミの実を食べる犬の話がある。もとの「有明淑(しず)の日記」(青森県近代文学館)にも同エピソードは出てくる。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20150322/1427014691(「花も実もある:2015年3/22 」)
 グミについては柳田国男の「片目の魚」に、グミ(茱萸)ほかの植物で眼をさされた各地の伝説が紹介されていて、こちらも興味深い。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20150607/1433664422(「グミ(茱萸)で眼をさした伝説:2015年6/7 」)
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六草いちかの気になる毎日:⑥今日は6月24日。 聖ヨハネの日。 使徒ヨハネではなく、イエスに洗礼を授けたバプテスマのヨハネのこと。 ドイツの白アスパラは今日で終わり。 ヨハネの実と呼ばれるスグリの実も今が積み時。 そして今日は日曜なのでベルリンの湖の畔では、2000年前のような洗礼式が行われました。⑥(6/24)

「Johannisbeeren (ヨハネスのベリー)」の赤スグリの収穫は、じっさいは7月になってからが摘み時らしい。
  聖ヨハネの日とスグリ: オバちゃんのめざせシンプル生活
  レッドカラント/赤スグリ/グロゼイユ:旬の果物百科
 六草(ろくそう)いちかさんの『鷗外の恋:舞姫エリスの真実』(講談社)を、朗読劇に仕立てた舞台を、2012年9/15(土)に東京文京シビックホール・小ホールで観ている。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20120916/1347784891(「朗読劇『鷗外の恋:舞姫エリスの真実』:2012年9/16 」)

『群系」第40号に、「野口存彌と日本近代文学・その2」特集の一論考として、安宅夏夫氏が野口存彌論文「森鷗外・小説の問題―『舞姫』まで、『舞姫』以後」について論じている。

 エリーゼは、二度と戻らない。今日現在、鷗外と十分相談を重ねてエリーゼが日本にやって来たことが、右記した六草いちかの二冊の著で明らかになり、世人は瞠目させられている。 
 六草の著が、先行する篤志。篤学の二人の研究者、小平克と林尚孝にコンセプトもベクトルも負っていることも明白になった。小平・林の著は、最初、鷗外研究者が疑問視した中で、つい先日逝去した平岡敏夫と日銀勤務の長い経歴を持つ在野の研究者吉野俊彦の二人だけが手を伸ばしていた。
 驚くことは、小平克の、その後の研究にもある。
 小平はエリーゼが、鷗外と別れて故国に戻る約束が成り、エリーゼが離日の前に二人は夜を共にしたことを、鷗外の詩歌から掬い上げた(安宅は『群系』既刊号「大正文学特集」に紹介ずみ。)…p.127

  さてさすがに〈半端ない〉評伝作家でもある安宅夏夫氏、昔(1969年)『ラマ・タブタブ』という「現代におけるマニエリスムを指向している」(望月昶孝)詩集を長帽子の会発行で上梓(350部限定)しているのである。その変わらぬ文学への情熱に敬意を表したい。

 昭和40年(1965)、私は一人で金沢を旅した。旧制の第4高等学校と、川を挟んで向かい合っている通りの古本屋に入り、中野重治の高等学校時代の同人雑誌、または交友会誌を置いてないかどうか、聞いてみた。古書店の主人は、重治を〈じゅうじ〉と呼び、「中野じゅうじさんは学生の頃、よくウチにも来ていたよ」と言ったが、私が求める本は置いてなかった。その問答を聞いていた(私より数歳年上と思われる)青年が、店を出る時、声をかけてきた。その青年が詩人の安宅夏夫さんだった。
 私の記憶では、安宅さんは、「胸を患って、療養のため故郷の金沢にもどっている」ということだった。私が名乗ると、「亀井秀雄という名前は最近どこかで見たような気がする」と言った。つい先月、『群像』に「ある文学史論のゆくすえ」という文章が載ったところだ、と言うと、「ああ、それだったかもしれない」と納得し、香林坊の食べ物屋に案内してくれた。湯豆腐が評判の店だという。安宅さんはお酒を控えていたが、私が銚子一本を空にするまで、食事を取りながら付きあってくれた。鍋焼きうどんのお鍋ほどの容器で、昆布と椎茸のダシ汁を作りながら、一人分の豆腐をとりわけて、その回りに銀杏とほうれん草とねぎを添える。ほどよく煮え立った頃、刻んだ柚子とミツバと海苔を、豆腐に載せて、香りと風味を楽しく食べるわけだが、この金沢風な湯豆腐は、現在も我が家の冬の食卓には欠かせない一品となっている。
 その後、たぶん安宅さんの処女詩集『ラマ・タブタブ』を頂戴した。(「亀井秀雄‘Ý–{‰®‚³‚ñ‚Ì•¶ŠwŽji1j )