雨の音 雨宮テイコ
雨の音がしている
庭の土をしきりにたたいている音
細い透明な指 雨の心
その手でわたしはどんなに深く
地球につながれていることか
その渇くときにわたしには
助ける方法がなお残されているだろうか
雨が語りかけてくる言葉を聞いている
それは言いようのないよろこびで
わたしをつらぬいていく
だが人からはなんと
遠く隔てられていることか
こうしてわたしに雨の音を滴らせ
永遠なものにしているところへ
いつか帰っていくために
更に遠く経巡っている
……『花粉期』通刊57号(1992年1月)より