巣鴨・駒込を歩く

http://www.restrestrest.com/

 昨日は、豊島区巣鴨のイタリアン「REST rest REST〜レストレストレスト」にて、高校のクラス同窓会が催され、参加した。パーティー貸し切りで、参加者数は25名ほど。ほとんどは少し前まで、国の内外で責任ある立場で活躍していた人たちであるが、いまは病気と健康の話題にいちばん盛り上がる(?)のである。個人的には、赤ワインをだいぶ呑んで楽しい一日ではあった。

 地下鉄三田線千石駅に降り、本駒込の都立小石川中等教育学校正門に立ち、あたかも不審者のごとく中を覗いてみた。構内には入れない。かつて都立小石川高等学校に12年間も奉職していたので、名称および機構が大きく変わってしまったとはいえ、いっとき懐旧の想いに浸った。一つの建物の中に中学校を設置したわけで、一学年の規模がそれ以前の半分、生徒数が200人を切っているようである。世の中へ出たとき、予想以上に高校同窓のつながりはだいじである。そのあたりが心配となる。
 さて街を巣鴨方向に歩くと、昔あったはずの店がほとんど残っていない。宝塚出身の女将さんが切り盛りしていた居酒屋「千石」も無くなっていた。ここの店の昼定食をよくいただいたものである。杜けあきさんの東京宝塚劇場での引退公演の最前列のペアチケットが入手できたのも、女将さんの尽力によるもであった。
 近くには柳沢吉保の屋敷の庭であった六義園があり、少し足を伸ばせば、旧古河邸庭園などの元々私的な庭園がある。都立小石川高校卒業の建築学者鈴木博之青山学院大学教授は、『都市のかなしみ』(中央公論新社)で、(可能性の問題からも)公共の意思を表現したものではなく「今後の都市内の公園には、私的表現、願わくば私的全体性を備えた表現が持ち込まれるべきではないだろうか」と述べている。
 鈴木氏は、「街には生きている哀しみのようなものがある。それのない、まっさらのピカピカの街は、歩きたいと思わない」とし、東京の街について書いている。
……東京で印象に残っているのは、西日暮里のあたりから、谷地とか何とかいう名前の商店街を通って、駒込の駅に抜け、そこから霜降り銀座という商店街に出て西巣鴨の辺りに出る道である。むかしの川筋であろうと思われる曲がりながら進む道には、さびれたような商店が点在し、やがて霜降り銀座の狭い賑わった通りにつながる。ここを歩くと東京にも「地元」があるのだという気持になる。西巣鴨から旧中山道に入って、板橋の駅まで出れば、さらにこの味わいは増す。……(同書p.10)

 一次会終了後一人分かれ六義園の裏を通って、駒込駅まで歩いた。駅前の洋菓子店「アルプス(ALPES)」でシュークリームを購入して帰宅。

都市のかなしみ―建築百年のかたち

都市のかなしみ―建築百年のかたち

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の 、白梅 。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆