黒人差別とゲイ差別:『LAW&ORDER:性犯罪特別捜査班(SVU)』S5-20

  Hulu配信の米国放送連続刑事ドラマ『LAW&ORDER:性犯罪特別捜査班(SVU)』のシーズン5のエピソード20は、DL(down-low)の問題を扱っている。
 街娼が多く立っている街で、車の中で殺された一人の白人男性が発見される。男の身元は男娼が盗んで捨てたバッグの中身から、地方検事補のジェフだと知れる。そしてSVU(性犯罪特別捜査班)が調べると、もう一人の男性が車中にいたこと、ジェフはホモセクシャルで、車中で性交渉があったと推定されることが判明。何とジェフはSVUのオリビア・ベンソン(マリシュカ・ハージティ)刑事のかつて短期間で別れた恋人であった。
 ジェフと親密であった同僚のアンディ検事補が容疑者として捜査線上に浮かび上がるが、ジェフの変異株のHIVにアンディも感染していることなどの状況証拠はあっても、本人が強く否定し決定的な物的証拠が出ていなかった。また妻・幼い娘と仲睦まじい家庭生活を送っていることも判断を鈍らせる。ニューヨークのハーレムで生まれ育った黒人のオダフィン・チュツオラ(アイスーT)刑事が、「あの男はdown-lowだな」と見破り、本ボシとなった。

ejje.weblio.jp つまり女性と堅実な家庭生活を営みながら、裏で男性と愛し合っている人物であったのだ。SVU専属のケーシー・ノヴァク(ダイアン・ニール)検事補は、アンディが取り調べで留守中の住居を訪問し、HIVに感染してしまったその妻と話す。妻は、警察署の取り調べ室に「自らの意志で」入り、夫にこれまでの関係を振り返り「今までも、これからも愛し続けている」と言って「あなたを赦す」と告げてから、「家族を社会的にどん底に突き落としたあなたを許さない」と断じた。アンディは耐えきれず、「ダマしててすまない。ジェフが家族を捨てて自分と一緒になってくれ、と迫ったので、止むを得ず殺してしまった。家族を愛しているからなのだ」とデスクに泣きながら俯したのであった。感動的であった。
 悍(おぞ)ましいレイプ犯罪に憤り、正義のために時に適正な手続きを忘れ逸脱し自らの地位を危うくしてしまう美人検事補ノヴァクには、いつもハラハラさせられ、しかし喝采を送る。なおかつてジェフと交際していたベンソン刑事は、監察医の検査でHIV感染について陰性であった。よかった。
 このDL(down-low)の問題に関しては、次のサイトの記事が参考になる。

sistah.livedoor.blog

▼一般に黒人男性のゲイに対する態度は対極化しており過剰に嫌悪感を表すか、親睦的であるかのどちらかのようだ。それでもホモフォビア(ゲイを極端に嫌う事・人々)は黒人社会で異常に多い。事実、黒人社会内のゲイ結婚反対の割合は他のどの人種グループよりも高く、これは彼らの深い信仰と伝統的考え方がルーツになっている。その中で何人かはメインストリームから抜け出してDLライフについての現状の認識と黒人社会への影響について学ぶことを呼びかけているが、そのトピックは未だ苦々しい顔で受け取られ、必ずといっていいほど「ゲイは罪だ」という反論で終わってしまう。▼

www.afpbb.com

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