川端康成『雪国』について:小谷野敦『川端康成と女たち』(幻冬舎新書)を読む

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 今日のNHKあさイチ』に高橋一生がゲスト出演していて、4/16(土)川端康成没後50年の祥月命日にBSプレミアムで放送予定の『雪国』の番宣をしていた。島村が高橋一生で、藝者駒子が奈緒とのこと。脚本が、朝ドラ『ちりとてちん』『カムカムエヴリバディ』、大河ドラマ平清盛』の藤本有紀、演出が、大河ドラマおんな城主 直虎』の渡辺一貴ディレクターなので、期待はできる。しかし昔原作そのものを面白く読んだ記憶がないので、映像的な魅力を楽しめばよいのかもしれない。男優の高橋一生は『おんな城主 直虎』で注目し、最近のNHKドラマ『岸辺露伴は動かない』『恋せぬふたり』でよく知っているが、女優の奈緒は知らない。

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   比較文学者・作家の小谷野敦氏の近著『川端康成と女たち』(幻冬舎新書)は、緻密な伝記研究の蓄積を踏まえて、川端康成の名作とされる作品について考察している。川端康成について、人物的にいろいろな欠点があっても作品はすばらしいということと、プロットを立てるのが下手で、長篇を試みて例えば『浅草紅団』など途中で収拾がつかなくなる場合がほとんどなのである、という点を指摘している。
 さて『雪国』、「この作品は、果たして今後も名作として残っていくかというと、私は疑問である」として、作品の謎を解くのが第一章で、本日たまたまここまで(71ページまで)読んだ。
 圧倒的に面白く感動したのが、東京でそれなりに知られていた作家川端康成が、どうして新潟の越後湯沢あたりの、容姿は十人並みで若い(満19歳の)、文学少女ではあっても川端を知らない温泉藝者=松栄(まつえ)に入れ込んでしまったのかというところ。どうやら松栄は「名器」の持ち主だったらしい。「君はいい女だ」との島村の駒子称賛もこの含意であったのだ。なるほど、松栄をモデルにした駒子が、島村を恋の虜にさせつつも「なんだか底寂しい喜びに誘ひこまれた」と描写するのも納得できるのである。『雪国』は何度も書き足され、いったいどういう結末なのか不明な物語=open endな小説という扱い方もされるとのこと。

 松栄の小高キクは、結婚して平穏な人生を送り、川端の死の際などに女性週刊誌に登場したりしたが、1999年1月31日、満83歳で死去した。
 パロディも多く、笹倉明の『新・雪国』、村松友視の『雪国あそび』、樋口毅宏民宿雪国』などという珍物もあった。(p.71)

 笹倉明の『新・雪国』は、監督後藤幸一で映画化され、奧田瑛二・笛木夕子(現優子)のダブル主演、所蔵DVDで観ている。この作品での「名器」云々は知り難いが、藝者役の笛木夕子の裸身は眩しく美しかった。

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