『室生犀星研究』42(室生犀星学会2019/10)に「「白雲石」の形成」を書きました。『聊斎志異』巻11の38「石清虚」を犀星がいかに翻案して冒険物語へとジャンル変換したかについて概説しました。
— hiroshi (@nishitaya) 2019年10月28日
室生犀星学会編集発行の『室生犀星研究』第42輯が発刊された。「星の広場・犀の眼」コーナーの、森晴雄氏の「川端康成『雪国』と犀星」は、「文芸懇談会受賞作品」とその箱に誌された川端康成の単行本『雪国』(他に4短篇を含む)の帯に、室生犀星の「最大限の褒め言葉」があり、その文を一部とする『雪国』刊行の翌年『読売新聞』紙上に執筆されたエッセイを紹介している。「身辺小説を避けて読まぬこと」、「川端の風景描写に賛成しがたい」などの、犀星の見解が窺えるとのこと。また、雑誌連載中の『雪国』について、犀星の「作品への強い批判が滲み出ている批評」が別なタイミングで書かれているそうである。面白い。
同コーナーの須田久美氏の『室生犀星の「軽井沢より」』では、昭和8年〜昭和54年(戦時下中断)秋田で続いた『秋田』という雑誌が存在し、その同人でもあった金子洋文という作家がいて、犀星の「あにいもうと」を脚本脚色した『兄いもうと』を上演しているという。プロレタリア文学に関する知識も関心もないためか、不覚にもこの作家の名を初めて知った。このエッセイも研究者の姿勢の一端が知れて興味深かった。
❉なお学会事務局は、東京都板橋区常盤台1−58−12 須田久美方