プーランク作曲『人間の声』&ジョルジュ・ビゼー作曲『アルルの女』鑑賞

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   1/8(土)、東京池袋の東京芸術劇場コンサートホールにて、ジャン・コクトー原作、プーランク作曲のモノオペラ『人間の声』と、A.ドーデ原作、ジョルジュ・ビゼー作曲の劇音楽『アルルの女』を鑑賞した。『人間の声』の原作戯曲の舞台は、昔青山草月ホールにて観劇している。いまその時の公演パンフレットが見つからない。失恋したばかりの女が、ひとり部屋で交換台を媒介にした電話機を耳にあてながら、その別れた男と会話しつつ、初めと途中でどこかの他人と繋がってしまい、そちらにも誠実に応じる展開の結末で、コードを首に巻きつけて女は命果てる、という哀しいお話。一人芝居である。それをプーランクはモノオペラの作品にした。

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 舞台中央のベッドと電話機の置かれた台の間に立って、女=森谷真理(ソプラノ)が語り(歌い)つづける。極限の悲嘆を歌うときの美しい高音はむろん聞かせるが、旅先のような男に対して「二人で泊まったあのホテルには泊まらないでね」と切々と力なく訴える歌唱のところに感動した。森谷真理の真骨頂がそこにあるような印象をもつのである。

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 劇音楽『アルルの女』では、まず佐藤正浩(指揮・台本翻訳・構成)指揮のザ・オペラ・バンド(管弦楽)の音が心地よく、武蔵野音楽大学合唱団の合唱も美しいハーモニーを愉しめた。こちらの物語も、プロヴァンスのある村の失恋した男が絶望してバルコニーから飛び降り自殺して果てるという、悲哀の結末。朗読劇による演奏会形式の構成で、語りと老羊飼い役で松重豊が出演。ほかに東京演劇道場の3人(木山廉彬・的場裕太・藤井咲有里)が出演。藤井咲有里はどんな演技をするのか、ストレートプレイで観たい気も起こった。生・松重豊の背が高いのには驚いた。目立つのを避けるためか、やや猫背気味に登場していた。NHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』でも、隠れた役で〈特別出演〉していて笑わせてくれる。同じ脚本家の作品なので『ちりとてちん』とのコラボだろう。

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