義弟はアマチュア面打ち師

 5/19(日)、連れ合いの埋骨をする墓地の契約が完了し、その報告ということで埼玉県久喜市の実家を訪れた。長男の車でKくんと一緒に高速利用で運んでもらった。怒涛のゴールデンウィークが終わっていたためか、高速は意外と空いていて渋滞に難儀することもなく到着。紫と白の紫蘭が迎えてくれた。電車とタクシーで次男夫婦も辿り着き合流。姪のYさんが手伝いに来てくれていて、賑やかな集まりとなった。抹茶やテレビ紹介で近年さらに有名になった鰻屋Tの鰻重など、次々に食卓に供され、大満足の宴となった。腹満ちて、広い庭に出、自家農園栽培中のサヤエンドウをみなで摘んだり、昔からたいせつに祀られている石仏たちにお参りしたり、楽しい時間を過ごした。

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 世帯主の義弟は自営業を継承しながら、趣味で、さいたま市在住の面打ち師に付いてすでに永く面打ちをしている。初期は大らかな神楽面から始めて、いまは素人目でみても趣味の域を超えている力量である。Kくんに猿面、次男嫁に女面が贈られた。二人共、思わぬプレゼントに大いに喜んでいた。

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 女面は、若女(観世流)か小面(こおもて)かと思われるが、たぶんもっとも若い女面の小面だろう。

能面女系一覧

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 岩波講座『能・狂言 Ⅳ能の構造と技法』に、能の演出には「常のキマリ」のほかに、「替エ」の演じかたがあり、その場合には「プログラムに小書キ」として書き出されるとある。面の使用についてもすべて「キマリ」で演じられるわけではないのである。

 小書キのようにまとまった演出についてでなくても、キマリの選択はいろいろある。たとえば、観世流の現行謡本(大成版)の装束付ケ(扮装のキマリの表)を見ると天人の面は、若女か小面か泣増(観世流の通称は増)を用いるとなっている。若女は艶麗な女面で観世流で広く用いられる。小面は少女らしいあどけなさを残したもっとも若々しい女面である。泣増は端正でややつめたい感じの女面で、脇能の女神には常にこれを用いる。「羽衣」で以上三種の女面のどれを用いるかは、天人をどう描くかという意図にかかっている。この能は三番目物だからおだやかに優美に演じようというときは、若女を選ぶだろうし、人間界のけがれに染まらない清純な乙女という感じを強調すれば小面であろうし、天界の神々しい仙女というとらえかたなら泣増ということになろう。なお、同じ小面といっても、ふくよかに微笑をたたえた顔の面もあれば、やせ型のさびしげな顔の面もあり、一面ごとに特徴があるので、そのどれを選ぶかにも心を用いることになるのである。シテが役を引き受けると、まず面をなににしようかというところから役づくりを始める人が多いようだ。人物の性格が集約的に表現されるのは面だからであろう。 ( p.33 )

 帰路圏央道に入る途中の歩道脇に、金鶏菊が並んで咲いていた。帰路の高速もさほど混んでなく、快適なドライブでわが家に戻ることができた。

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