エッセイストでもある藤原正彦お茶の水女子大学名誉教授の著作については、「武士道精神」を日本の継承すべき伝統精神として強調するなど、これまで個人的にあまり共感を感じて読んではいない。今週の『週刊新潮』掲載の「藤原正彦の管見妄語」の日大アメフト事件をめぐる「反則タックル」の論評には、その通りだと思ったことである。なお社会的立場は、こちらとは天地の開きがあるが、ご子息寛太郎君(東京理科大学助教)とわが次男(弁護士)は、高校(私立開成高校)の一年次に同組で、いわば保護者つながりがあったのである。著者に畏敬の念とともに、巧みな筆運びに誘導されつつそういう親しみは感じて読んだところ。
それにしても日大理事会の行動は不思議だ。小さな問題をできるだけ大きくし、メディアに叩かれるため必死に努力しているようだ。競争社会でストレスをため、「水に落ちた犬は打て」に変った国民に自ら打たれに行っているようにさえ見える。日大のほとんど全ての真面目な学生や教職員が可哀相だ。メディアはさらに不思議だ。ここ一年余り、モリカケ不倫日大と、国家国民にとってほとんど重要性のない問題に血道を上げている。アメリカの無謀で自己中心的な貿易政策、中国の南シナ海における狼藉、EU瓦解の兆候、米朝首脳会談の危険な本質、といった重大事から、国民の目を逸らしたくてたまらないようだ。
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