陰謀論の流行

週刊ポスト』新年合併特大号には、杉浦幸の待望久しかったヘアヌード写真(撮影・清水清太郎)と、1973年辻幣撮影のアンヌ隊員=若きひし美ゆり子の、肢体眩しいヌード写真が掲載されている。さっそく購入した。
 さて、「陰謀論の研究」という記事に注目した。「インターネットを中心に陰謀論は過去最高の盛り上がりを見せているという」とのことである。日本の政(まつりごと)が、明治以来山口県田布施出身者らによって牛耳られている、という説があるそうで、これは「田布施システム」と総称される。葛飾北斎所縁の信州小布施は知っているが、不覚にも田布施という地名ははじめて聞く。着想として面白いことは面白い。その他世界情勢をめぐって新旧多様な陰謀論が錯綜しているようである。
 評論家浅羽通明氏の解説に、そんなものかと思った。
……「すべてが定められている『宿命』や、次に何が起こるかわからない『偶然』を前にして人間の意志や努力はむなしい。例えば、いくら努力しても才能や資質(の)ない人は埋もれるしかないし、成功を前に偶然事故で死んでしまう人もいます。
 陰謀論は、〝世界や歴史を動かしているのは、宿命や偶然ではなく、誰であれ意志のある人間だ〟と信じたい哀しい願望の現われなのです」…… (p.151 )
利己的な遺伝子」あるいはウィルス総体が、主体として人類を含めた地球生命を〈陰謀〉によって支配するといった物語の方が、壮大でもっと面白いだろう。当節流行の陰謀論も怪談噺のように楽しんでいるのであれば他愛ないが、反資本主義・反アメリカ・反現代医学・反原発などと連結すると、恐ろしく非科学的な暴論に辿り着くようである。危うし危うし。