葉山修平と深沢幸雄

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「君たちがやっていた雑誌に、友人の画家がいたんじゃなかった?」と油木桂馬がいった。
「ああ、深沢幸雄ですか。銅版画家です」
「ああいう人を取りこむのも、同人雑誌のやり方だと思うんだがね」
 深沢幸雄は「花盗人」の表紙やカットを描いてくれていたもので、アブストラクトの硬質な画だった。高井民夫と小川真澄のつとめる房総半島のなかほどにある市原高校で画を教えていた。この高校は莢吉の母校でもあった。釣の名人でもある深沢幸雄は、村を流れる養老川で鮎つりをしながら、銅版画の製作に励んでいるはずだった。……(葉山修平『美の使徒』龍書房2007年:p.222)※作中の、油木桂馬は文藝評論家の林富士馬、莢吉は葉山修平本人である。
 葉山修平氏(8/28没)の単行本と関わった同人雑誌の表紙装幀の多くに、深沢幸雄画伯の作品が提供されている。漸次紹介していこうか。

 (『異形の群』東西五月社・1959年)

 (『日本いそっぷ噺』大和書房・1960年:「日本いそっぷ噺」「バスケットの仔猫」ほか所収)
 http://prizesworld.com/naoki/senpyo/senpyo43.htm(「第43回直木賞選評の概要」)

 (『終らざる時の証しに』ニトリア書房・1971年)

 (『女優志願』龍書房・2012年)
(『深沢幸雄銅版画全作品集1955~1980』りゅう画廊出版部・1981年:限定500部中の412番)


(『深沢幸雄展カタログ』山梨県立美術館・1991年)
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20160713/1468379373(『「深沢幸雄—銅版画の魅力」展鑑賞:2016年7/13 』)
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20120408/1333895010(「高橋甲子男画伯紺綬褒章受章祝いの会:2012年4/8 」)
     ※わが年長の畏友高橋甲子男氏は、深沢幸雄画伯に師事している。