信時潔作曲『海道東征』


 ⦅「東京新聞」11/16(月)⦆
 信時潔作曲の交声曲『海道東征』は、わが所蔵のCDで聴いていた。2003年2月23日東京紀尾井ホールでのライブ録音である。音楽監督・指揮は、本名(ほんな)徹次、ソロ:鈴木美登里・野々下由香里(ソプラノ)、穴澤ゆう子(アルト)、谷口洋介・島田道生(テノール)、春日保人(バリトン・バス)、合唱:ニッポニカ・フェスティバル・コーア、管弦楽:オーケストラ・ニッポニカ、コンサートマスター:浜野考史。


 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20110708/1310133919(「なつかしの文月・野々下由香里『姉イピゲネイアの犠牲』:2011年7/8」)
 『海道東征』は、全8章からなる。北原白秋作詞である。

 第一章と第二章の詞を紹介しておこう。
【第一章:高千穂】
神坐(ま)しき、蒼空(あおぞら)と共に高く、み身坐(ま)しき、皇祖(すめらみおや)。/遥かなり我が中空、窮み無し皇産霊(すめらむすび)、いざ仰げ世のことごと 天(あめ)なるや崇(たか)きみ生(あれ)を。

国成りき、綿津見(わたつみ)の潮と稚(わか)く、凝り成しき、この国土(くにつち)。/遥かなり我が国生(くにうみ)、おぎろなし天の(あめ)の瓊鉾(ぬぼこ)、いざ聴けよそのこをろに、大八洲(おおやしま)騰(あが)るとよみを。

皇統(みすまる)や、天照らす神の御裔(みすえ) 代々坐(ま)しき、日向(ひむか)。/遥かなり我が高千穂、かぎりなし千重(ちへ)の波折(なをり) いざ祝(ほ)げよ日の直射(たださ)す 海山のい照る宮居(みやい)を。 

神坐(ま)しき、千五百秋(ちいほあき)瑞穂の国 皇国(すめぐに)ぞ豊葦原(とよあしはら)。/遥かなり我が肇国(はつくに)、窮み無し天つみ業(わざ)、いざ征(た)たせ早や東へ、光宅(みちた)らせ王澤(みうつくしび)を。

【第二章:大和思慕】
大和は国のまほろば、たたなづく青垣山。

東(ひむがし)や国の中央(もなか)、とりよろふ青垣山。

美(うるは)しと誰(た)ぞ隠(こも)る、誰ぞ天降るその磐船(いわふね)。

愛(かな)しよ鹽土(しほつち)の老翁(をじ)、きこえさせその大和を。

大和はも聴(きき)美(うるわ)し その雲居(くもい)思(おもゐ)遥けし。

美しの大和や、美しの大和や。