浅草「アンヂェラス」で〈お茶〉

 
 昨日11/19(水)は、隅田川白髭橋近くの介護老人ホームに老母を見舞ってから、都営バスで浅草に出向き、オレンジ通り沿いの喫茶店「アンヂェラス」に入店、〈お茶〉を楽しんだ。注文したのは、お決まりのショートケーキ&コーヒー。坐った側の壁には、森芳雄の油彩画「テラスの女」が掛かっている。昔画商にして美術評論家洲之内徹(1987年10/28没)が、店の森芳雄の三枚の油絵があまりに汚れていたので、画家の承諾を得て洗ったそうである。『芸術新潮』1994年11月号「大特集・洲之内徹」に、同誌1975年2月号掲載の「気まぐれ美術館」所収のエッセイ「絵を洗う」から、このエピソードについて引用している。愉快である。
「私が無意識にこの店に入ってしまう、その無意識の底には、この絵が在るのかもしれない」とアンヂェラスのことを語り、三枚の絵のうちで「テラスの女」がいちばん好きだとのことで、一度出品されていたこの作品を鎌倉の近代美術館で見て非常に汚れているのに気がついた。
……喫茶店に掛かっている絵は、煙草の煙と埃とで、ひどく汚れていることがままある。絵がアンジェラス(ママ)の店にもどってからも、見る度によごれはますますひどくなって行くようで、私は気になってならなかった。気がついてみると、他の二枚もずいぶんと汚れている。
 洗っておきたいが、なにぶんにも余所様の絵である。そこで、あるとき森さんに会って、私が行って洗うから、店の主人に森さんから話してくれるように頼んだ。森さんは承知して連絡してくれ、数日後に、私はその絵を洗いに行った。……(同誌p.71)




 http://www.asakusa-noren.ne.jp/shop/angelus/index.html(「洋菓子のアンヂェラス:浅草のれん会」)
 http://r-tsushin.com/special/Japanese_shinise_angelus.html(『世界に伝えたい日本の老舗:「アンヂェラス」』)