「野球はゲーム」


 キャスティングを見ると、男女共学の進学校の野球部顧問教師田茂青志役の嵐・二宮和也クンが主演で、薬師丸ひろ子(楓・喫茶店「サザンウインド」店主)、福士蒼太(赤岩公康・野球部員)、有村佳純(樽見柚子=楓の娘・野球部マネージャー)のNHKあまちゃん』の3人が共演するとのこと、ほかのメンバーはどうでもよく、また正統派青春学園ドラマの看板はともかく観たくなる。
 このドラマの脚本は倉持裕で、原作が高橋秀実の『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』(新潮社)だそうである。東大・東大大学院でスポーツ科学を専攻した野球部顧問(監督)の青木秀憲さんの野球についての考え方は、2012年秋の学年同窓会での講演で聴いている。弱いチームにむいた戦法で試合に臨ませる。そのための練習として守備は「正面に飛んできたゴロはしっかり捕る。30mの距離をまともに投げる」ことだけで、あとはすべて打撃しかも長打を狙わせる(そうすれば短打も生まれる)指導をしている。ユニークである。ある程度の成果をあげているらしい。当日資料として用意された「Number」4/2007掲載の高橋秀実氏の記事によれば、
……「野球はゲームなんです」
 青木監督が言う。野球に教育的意味はないのだと。
「生徒たちにとって今は無駄なことがいっぱいできる貴重な時間なんです。大人になったらこんな時間はもうありません。僕は無駄なことをやらせてあげたい。野球は偉大なる無駄。無駄なことだから思いっ切り、勝ち負けにこだわってやろうぜと僕は言いたいんです」
 開成高校は甲子園に行くつもりである。……
 かつての『スクール☆ウォーズ』とは違って、学力の高い高校での青春ドラマなのでどのような共感を呼べるのかわからないところがあるが、勉強ができようができまいが人間は愚かであり、とくに男女関係をめぐってはだれもが阿呆でしかないことをしっかり描ければ、案外受け容れられるかもしれない。開成高校OBの演出家蜷川幸雄氏は、同窓会講演会で「嵐の二宮和也というのは、いかにも現代的な青年」とプラスに評価していたことを思い出した。個人的には、嵐では大野クン、相葉クンを応援しているが、二宮クンの演技力にも注目したい。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20111106/1320588690(「つっぱり老人蜷川幸雄」)
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20110706/1309945101(「伊藤若冲覚書」)
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20130619/1371632858(「草間彌生大野智のTシャツ」)
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20110319/1300527430(「『バーテンダー』というカクテル」)
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20120408/1333879949(「桜と鰻」)