昨日1/19(日)テレビ朝日開局55周年記念番組として放送された、松本清張原作、石橋冠監督の「黒い福音」は、企画・制作に力が入っている感じで、面白かった。主役の警視庁の名刑事藤沢六郎役のビートたけしほかのキャスティング、およびあらすじなどは局のサイトに。
http://www.tv-asahi.co.jp/fukuin/cast/(「テレビ朝日:黒い福音」)
この物語は実録に基づいている。1959(昭和34)年、杉並区の善福寺川でその遺体が発見されたBOAC(英国海外航空)の若いスチュワーデスの殺人をめぐって、容疑者として疑われた恋人のベルギー人神父が日本を脱出してしまったため迷宮入りとなった事件である。松本清張原作は読んでいないが、この事件の周囲にもう一つの神父と女性の恋、そしてカトリック教会をまきこんだ物資のヤミ取引きと麻薬密売を絡ませて、退職間近で病を抱えた刑事の執念の捜査を描いている。ビートたけしの刑事が、容疑者の神父に自分の神様はここにあると胸に手をあて、「あんたの神様はどこにいるんだ」と迫るところは、迫力あり、いちばんの見せ場だったといえよう。しかしもう一つの神父と日本女性(竹内結子)との激しい恋のエピソードを入れていて、印象は散漫になった。教会に集う町の人々らは、カトリックの信仰共同体というより、横溝正史の描く土俗的な信心の共同体のような感じであった。あるいは意図的に、Godも神様の一つとして受け容れられていることを暗示したのであろうか。
実際のスチュワーデス殺人事件の事実経過については、以下に詳しい。今年は、時効成立(1974年3/10)から40年経っている。
http://yabusaka.moo.jp/stewardess.htm(「スチュワーデス殺人事件」)
[file:simmel20:Kikuyabashi.pdf]