11/8(日)午後1:00〜、BS・TBSで1982年8/7(土)に、午後9:00〜の2時間枠「ザ・サスペンス」シリーズの単発ドラマとして放送された、『肉体の処刑・人妻はなぜ胸に花を飾って殺される?』が再放送された。ひさしく待望していた者としてじつに嬉しいことであった。柴英三郎の原案を、森瑶子が脚本化、久世光彦が演出という文句なしの才能たちによる、KANOX制作の作品。主演は、関根恵子(現・高橋恵子)、共演は、西村晃、小林薫、清水綋治、中村れい子、白川和子、絵沢萠子ほか。
ホテルの一室で女が殺される事件が起きた。栗崎邦夫(清水綋治)主任刑事らがこれを追う中、主婦売春の実態が明らかとなる。邦夫の父栗崎欣五郎 (西村晃)もかつて主婦売春を調べる任に当たっていたが、疑惑の喫茶店の席で徴の花を胸に挿して客を待っていたのは、何と邦夫の妻の栗崎光子(関根恵子)であった。 昔赤線で働きいまは小料理屋のママに収まっている母親(絵沢萌子)に無理矢理頼んで、その娘の光子を邦夫に嫁がせた経緯があった。光子をわざと見逃した欣五郎 はもうすぐ定年というタイミングで、自ら辞職願いを提出し、現在は痴呆を装って光子の世話になって暮らしていた。栗崎家にはもう一人同居人がいる。邦夫の弟栗崎達夫(小林薫)で、事件・ゴシップを追う雑誌記者で、主婦売春を追及していた。団地に暮らす主婦売春の女(白川和子)から、電話連絡で使用する合言葉「タカノ美容院の件」を知り、ついに義姉も主婦売春に関わっていることを見破る。彼は、付き合っている女(中村れい子)はいるが、光子に恋しているのだ。いっぽうで売春主婦の電話番号リストを手に入れた栗崎邦夫刑事は、その中に自宅の電話番号を見つけ愕然とする。自宅にはいつも、光子が買ってくるカトレアの花が飾られていたのである。
ニセの電話で光子を喫茶店に呼び出し、義弟である達夫が坐って客を待つ彼女の目の前に現れる。観念した光子と達夫は花屋に立ち寄ってから、一緒に自宅に戻り、2階の達夫の部屋で達夫は光子を強姦(未遂?)してしまい、光子の胸に〈料金〉2万円を無造作に置く。彼女は、拒まずにその金をバッグに入れる。
さて、ホテルの連続主婦殺人の犯人は、主婦売春を憎み、光子が恐怖によってもう止めることを望んだ義父の欣五郎 であった。彼は、ギリシア悲劇の主人公のように両眼をハサミで突き刺して倒れていた。在職中追い回して迷宮入りとなっていた強盗殺人事件の犯人が、たまたま名乗り出て息子の邦夫が逮捕したという(欣五郎にとって)虚しいエピソードも織り込まれて展開、盲目となった栗崎欣五郎と、手を引く光子が共に警察に自首をしに家を出るところで終結。面白かった。昔のTBSドラマの質は、やはり高かった。夜の9時台に、よく〈過激〉な映像を流せたものである。感心した。
http://simmel20.hatenablog.com/entry/20140129/1390981273(「妖花から大輪の花へ・関根恵子:2014年1/29」)
なおこの再放送を知ることができたのは、知己のIF氏の連絡のおかげで、IF氏は、ラジオ番組桃井かおりの「ひとり身ポッチ」を永く担当していた、元TBSディレクターである。感謝したい。