本日8/28は、建長五〈癸丑〉(1253)年、「八月廿八日(旧暦)」道元禅師が遷化したことから、道元忌の日であるとのことである。なお明治以来太陽暦に基づき曹洞宗では、9/29を、道元禅師・瑩山禅師(総持寺開山)両祖の忌日として定めている。
道元のことは懐奘の『正法眼蔵随聞記』を一度読んだのみで知るところに乏しいが、栗田勇氏の著作を通じて間接的に学んでいる。酷暑の今夏を思えば『典座(てんぞ)教訓』での、若き修行僧(道元)=「山僧」と、炎天下椎茸を干している老いた用(ゆう)典座(※寺の食事係)との中国天童山での出会いのエピソードは印象的である。
http://homepage3.nifty.com/junsoyo/taberu/tenzo/tenzokyokun.htm
(「『典座教訓』全文」)
……「如何(いかん)ぞ行者(あんじゃ)・人工(にんく)を使わざる」
座いわく、「佗(=他)は是れ吾にあらず」
山僧いわく、「老人家如法なり、天日且つ恁(かくのごとく)熱す。如何 ぞ、恁(かくのごとく)地なる」
座いわく、「更に何(いずれ)の時をか待たん」と。山僧便(すなわち) 休す。……
栗田勇氏『禅と日本人』(河出書房新社)の現代語訳は、
……若き道元は足を止めて尋ねた。
「何故、行者(寺男)や人足を使わぬのですか」
「他の人はこれ、われに非ず」
「老僧の仰せの通りです。では、なぜ、この炎天下に、わざわざ御苦労されるのですか」
「今でなくて、いったい何時(いつ)やれるのか」
この言葉に、まだ若い道元は答える術を失った。……(同書pp.179~180)
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