瀬川(小芝風花)ロス、あるいは舞台での悪の検校=藪原検校

serai.jp  1990年秋、新宿・紀伊国屋ホールにて観た、地人会公演、木村光一演出、井上ひさし作の『藪原検校』の舞台を思い起こした。後に2代目藪原検校となる盲目の杉の市が、悪の権化として金の力で検校の位に登り詰め、しかし幕府の後ろ盾のあった同じ盲目の塙保己市との対立を経て、ついに殺されてしまう展開を、劇中劇のスタイルで物語られる舞台。仕掛けもいろいろ、祝祭性もありそれなりに面白くはあった。ただ、あまり過重に反権力・制度としての悪ということを強調して杉の市の人生を捉えるのは、感心しない。
【キャスティング】
ギター奏者:水村直也
盲大夫(語り手):金内喜久夫
杉の市:原康義
塙保己市:藤木孝
お志保:三林京子
お市:岩瀬晃子
初代藪原検校:鈴木慎平
松平定信:沖恭司  ほか