太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)来日公演『金夢島(Kanemu-Jima)』(10/25 東京芸術劇場プレイハウス)観劇

 10/25(水)東京芸術劇場プレイハウスにて、フランスの太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)の来日公演『金夢島(Kanemu-Jima)』を観劇。2度目の来日公演で、1度目は2001年9月、新国立劇場・中劇場で『堤防の上の鼓手』を観ている。

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 今回の『金夢島』も、劇団主宰者であるアリアーヌ・ムヌーシュキンが演出している。
  この演劇の内容は、フランスの病院で病床に伏す年配の女性コーネリアが夢の中で見た幻の出来事、という大枠の中、日本の架空の島金夢島を舞台とし、そこで世界演劇祭が催され各国から劇団が集まって来て公演、同時にリアルには島の次の市長を決める選挙活動が進行していた。島の伝統と自然環境を守ろうとする現市長と、大規模開発によって経済的利益をもたらせようとする2人の助役の3人が立候補、対立していた。それぞれの劇団の演し物が上演され劇中劇が展開。ラジオ・ワサビというメディアも存在し、それらしい活動をする。劇中劇の展開で、歌舞伎や人形浄瑠璃、能など日本の伝統演劇がしっかりと紹介・上演される。ユーモアにまぶしつつ風刺も効かせ、深刻さのなかに笑いがあり、笑いのなかに深刻さがある。入れ子構造になっているが、演劇全体の仕掛けも、劇中劇のそれぞれの仕掛けも多彩で、それじたいだけでも愉しめる。ただ間延びするところもあり、いちいちフランス語翻訳の字幕を見上げ続ける生理的疲労も加わって、眠くなることもあった。最後はとうぜん伝統と環境維持の現市長が選ばれ、助役たちは選挙違反の活動で逮捕される。めでたしめでたし。世界演劇祭もつつがなく終了。病床のコーネリアはまどろみのなかで幻の出来事を反芻する。なお劇中劇の、世界演劇祭に参加した(幻の)劇団は以下。
◯中東一座「偉大なる平和劇団バベル」
◯人形劇団
◯香港の劇団「民主主義ー我が陣営」
◯市職員で構成された「デモクラティック小提灯劇団」
アフガニスタンの難民劇団「アンズの民族離散」
◯「ブラジル社会主義劇団・聖母」