アザナヴィシウス監督『グッバイ・ゴダール(Le Redoutable)』を観る

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 昨夜は、WOWOW(シネマ)で、アザナヴィシウス監督『グッバイ・ゴダール(Le Redoutable)』を観た。映画監督ジャン・リュック・ゴダールの2度目の結婚相手、哲学科の学生アンヌ・ヴィアゼムスキーとの別れに至るまでの物語を、パリ「五月革命」の騒乱を背景に描いている。二人がデモ行進中、一人の男が近づき、「あなたは天才だ、『勝手にしやがれ』や『気狂いピエロ』などについて、いま論文を執筆しているところ」と話しかけると、ゴダール、「あんな作品はクソだ。そんなクソについて論じているお前はゾンビだ」と突き放す。「映画より革命だ」と主張するゴダールに対して、「あんたは農民・労働者のことなんか全然わかっていないよ」とだれかがこき下ろす。ことばの弾丸が飛び交って面白い。

 アンヌ(ステイシー・マーティン)が他の監督作品に出演していて、ゴダールが電話で連絡しても出てくれない。不倫を疑って、ゴダールは「あんなクソ映画に出て何をやってんだ」とホテルで当たり散らす。この俗物的振る舞いに嫌気がさして、とうとうアンヌは離婚を決意するといった展開。巨匠の愛すべき俗物性が遺憾なく露呈していて、じつに愉快である。アンヌを演じるステイシー・マーティンは、たまらなくキュートで、その謎を含んだ表情に惹かれてしまう。ヌードシーンもけっこうあって楽しいが、オールヌードの場面では無念ボカシが入ってしまった。こんなところでボカシを入れたら不自然でかえって猥褻。本日この場面を観たいだけのためにAmazon.com経由でフランス盤『Le Redoutable(再編集可能)』を注文した。なんと1枚のみ在庫(Only 1 left in stock )があった!「年金問題」と同じで、ボカシはいけない。あるがままを正視するべきなのである。

 なお、老ゴダールは健在であるが、アンヌ・ヴィアゼムスキーは2017年10月にパリで逝去しているとのこと。

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