池内父子

 池内恵(さとし)東大准教授が、ブログ『中東イスラーム学の風姿花伝』の最新記事「陰謀論に花束を」で、BSスカパーの某番組に出演したときのことを書いていて、面白い。同番組レギュラーゲストの「国際政治については、典型的な米国超リベラル派らしく、陰謀論炸裂」の詩人アーサー・ビナードに触れて、
……まあ中東政治に陰謀はつきものだけど、その多くは米国主体ではなく、現地の諸勢力が地域大国と域外大国とNGOとかを盛大に巻き込みながらやっているのだから、なんでも米国が動かしていると言っていては、中東は分かりません。
中東に盛んな陰謀論とは別に、もっと現実的で厄介な陰謀がたくさんあるのです。それを読み解けないと、手玉に取られてしまいます。……
 なるほど。現代においては、詩人(作家も含む)が公の場で国際政治など論じるのは、(その内容は)あまり信用できないものである。せいぜい床屋(美容室or理容室)あたりで大いに弁じてほしい。
 さて、父君池内紀(おさむ)氏について述べている。
……ビナードさん、最近うちの父といくつも一緒に仕事してくださっているらしい。うちの父も政治の話になると、まあビナードさんと似たような感じのぽわっとした現実感のなさがある。
ただし父は、人間社会の本質に関しては、政治の制度や社会構造に関する情報は恐ろしく皆無なのにもかかわらず、ある面で異様に勘が鋭い。もし理屈で説明させれば陰謀論みたいなものになってしまうのだろうが、そういうことは人前で決して言わない防衛本能は鋭い。なので、明らかにおかしいだろ、という政治的発言をしたのは見たことがない(いや、探せばいろいろあるかもしれませんが・・・)。その辺、世の文系知識人とは全く違うと思う。……
 http://ikeuchisatoshi.com/i-1214/(「中東イスラーム学の風姿花伝陰謀論に花束を」)

⦅写真は、東京台東区下町民家の珊瑚花(サンゴバナ)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。コンパクトデジカメ使用。⦆