連翹の一枝

 深川正一郎選・「現代俳句の世界1」『高濱虚子集』(朝日文庫)中「六百句」(菁柿堂刊・昭和21年)から花時の句(昭和17年)を。
 濡れてゆく女や僧や春の雨
 失せてゆく目刺のにがみ酒ふくむ
 あやまってしどみの花を踏むまじく
  ※しどみ:草木瓜の別名。草木瓜は、トゲのある低木のボケ(木瓜)。
 連翹の一枝円を描きたり
 行き当り行き当り行く花の客
 騒人にひたと閉して花の寺

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のレンギョウ(連翹)の一枝。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆