「career」と「carrier」

 http://blogs.yahoo.co.jp/mediakatsuya/64021049.html(「大学のキャリア教育でキャリアは積めない」)
 関東学院大学で現代メディア論を教えているという研究者A.K氏の『勝手にメディア社会論』というブログに、大学のキャリア教育についての批判的な記事があった。ことさらキャリア教育などと銘打ってカリキュラムや教育方法を工夫しなくとも、大学教育本来の学問研究のスキルを身につけさせる、ゼミ中心の教育活動をまっとうに行えばよいのではないか、というのが論旨である。大学のいわゆるキャリア教育なるものがどのような現状にあるのか知らないので、論評は控えたいが、驚くのは次のところである。
……「キャリア」ということばの中身を考えてみよう。辞書的には「経験、経歴、専門的な職業,保菌者」とある。この中で、キャリアのコアイメージを理解しやすいのは,実は「保菌者」だろう。つまり、本人の意向にかかわらず身についてしまったもの。いいかえれば、これは教わるものじゃないことを意味している。……
「コメント」欄でとうぜんツッコミが投稿されているように、何が「辞書的」なのか不可解である。わが手許の『OALD』によれば、
carrier→a person or animal that can give a disease to others without suffering from it:(例)Mosquitoes are carriers of malaria.
career→the time that one spends and the progress one makes in a particular job,etc.
 まったく違う単語である。現代メディアなんぞを論じる前に、辞書を引けというのが、案外「王道なし」のキャリア教育なのではあるまいか。もっとも、こちらは人さまの語学力を云々できる能力も資格もないことを断っておく。
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の椿。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆