三島由紀夫作『ライ王のテラス』観劇



 昨日3/15(火)は、赤坂ACTシアターにて、三島由紀夫作、宮本亜門演出の『ライ王のテラス(Terrace of the Leper King)』(※原作は『癩王のテラス』)を観劇した。劇場の赤坂ACTシアターも、この芝居も初めてのこと。期待は裏切られなかったが、『サド侯爵夫人』ほどの作品自体の台詞の緊迫感は感じられなかった。1969年初演プログラムより今回プログラム再録の三島由紀夫の述懐によれば、若きジャヤ・ヴァルマン七世王の「絶対病」を書いたのが、この『癩王のテラス』であり、愛と信仰の「絶対」に取り憑かれた精神は、運命的必然として癩に冒され朽ち果て、その病は、「永遠不朽の美としての肉体の復元」以外に癒し得ず、それが建立完成されたバイヨンに具現化され、大団円を迎えるという展開を意図したとのことである。このあたりの内的構造が、理解しがたい。この王こそ、三島由紀夫の分身であることは、今ならば容易くわかるところである。この作家にとってのバイヨンとは、『豊饒の海』であったのか。

 インドネシアの影絵劇ワヤンを思わせる大きな影絵の利用や、カンボジアの人たちの音楽と舞踊のパフォーマンス、ムダを省いたシンプルな舞台装置など、さすが宮本亜門、ワクワクさせる仕掛けとリズム感、楽しめることは楽しめた。
 驚いたのは、プログラムとともにトートバッグやACT記念クッキーを〈爆買い〉している婦人客が多かったこと。三島由紀夫は、泉下で高笑いをしているのであろうか。
 なおこちらの座席はI列最右の38番。H列の後ろが横通路になっていて、そのスペースを空けて、I列以降の座席が配置されている。支那の大官(芋洗坂係長)一行が、第1幕の終わりにR1入口から登場、こちらは変形性膝関節症で、足を投げ出して観劇していたままなので、この大官の足と暗闇でぶつかってしまった。一瞬「スミマセン」という小さな声が聞こえ、大官一行は何事もなかったように舞台に上がっていた。芋洗坂係長というひとのことは知らないが、今後応援したくなったことであった。
 帰路地下鉄赤坂駅前の東京くるりぃむぱんで、冷やしクリームパン(プレーン&チョコ)を、土産に購入した。
 https://retty.me/area/PRE13/ARE18/SUB1801/100000734172/(「東京くるりぃむぱん」)
 http://www.abaxjp.com/cambodia-bayon/cambodia-bayon.html(「バイヨン寺院:圧倒的な存在感」)
 http://angkorwat.jp/angkorthom.html(「アンコール・トム:バイヨン」)